2019年3月26日火曜日

日本経済新聞(2019年3月23日)に「一橋大・日経イノベーション指数」ランキングを分析した記事が掲載されました



イノベーション研究センターが日本経済新聞社と共同で開発した、
「一橋大・日経イノベーション指数」ランキングを分析した記事が
日本経済新聞(2019年3月23日、朝刊2面、8面、9面)に掲載されました。
2018年12月19日に続いての掲載です。


「中国5強『潜在力』で猛追 日経・一橋大イノベーション指数 総合力では米が圧倒」
日本経済新聞 2019年3月23日、朝刊2面(有料会員のみ閲覧可)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42791090S9A320C1EA1000/


「一橋大・日経イノベーション指数」の開発を主導した青島矢一センター長の談話
が、同日の朝刊8面で「規模と成長力 両面を評価」というタイトルで詳しく紹介
されました。指数算出の狙いや指数の読み方について語っています。
イノベーション指数の概要は以下の通りです。


イノベーション指数の概要
世界の上場企業のうち時価総額が大きい国内168社、海外148社の2017年度のデータを分析しました。「組織力」は取締役に社外や女性人材が多いほど変化に機動的な対応ができると判断、役員数が少なく年齢が低いほど柔軟で迅速な運営ができると評価しました。「価値創出力」は時価総額や営業利益、海外売上高比率などで構成し、5年前からの変化率も加味しました。「潜在力」は研究開発費や設備投資、販売管理費とそれぞれの5年増加率を踏まえて点数をつけました。
イノベーション指数は、「組織力」に関しては4つの要素、「価値創出力」に関しては8つの要素、「潜在力」に関しては6つの要素と、合計18の要素で構成されています。


★『日本経済新聞』2018年12月19日に掲載された記事は以下の通りです。
「ニッポンの革新力」再生への道標(上)(1面、17面)(有料会員のみ閲覧可)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39120220Z11C18A2MM8000/

◆日本経済新聞
『日経・一橋大「イノベーション力」ランキング』(有料会員のみ閲覧可)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39102650Y8A211C1000000/


2019年3月13日水曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2018年度 Vol.66-No.4

2018年度<VOL.66 NO.4> 特集:NEXTユニコーン --スタートアップの新しい形









12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社






特集:日本にも「NEXTユニコーン」と呼ばれる新しいスタートアップが出現してきている。上場前にすでに時価総額が1000億円を突破する企業群をユニコーンと呼ぶが、ユニコーンの予備軍が、100億円以上の企業価値を持つNEXTユニコーンである。彼らはこれまでのベンチャー企業とは一線を画する事業戦略や経営資源(人材・技術・資金・ネットワーク)動員を可能としているように見える。本特集では、日本におけるユニコーンやNEXTユニコーンを、創業者自身と研究者が共同執筆者となって、創業の経緯と経営資源の動員の手法から分析し、21世紀の日本経済を牽引する企業のあり方について一定の展望を提供することを試みたい。


特集論文Ⅰ freee――起業に至る転職キャリア形成
カン・ビョンウ佐々木大輔
(一橋大学イノベーション研究センター専任講師/freee株式会社 CEO)
現在、ITと金融の融合によって未曾有のビジネスチャンスが生まれ、さまざまなスタートアップがその存在感を強めている。なかでもfreeeは金融業界のNEXTユニコーンとして注目を集めている。本稿では、創業者でありCEOの佐々木大輔とともに起業ヒストリーを振り返り、freeeのビジネスモデルがどのように構築され、その事業がどう拡大していったのかについて考察する。

特集論文Ⅱ ラクスル――日本型起業エコシステムの展望
島本 実/小林信也/松本恭攝
 (一橋大学大学院経営管理研究科教授/一橋大学大学院商学研究科修士課程/
  ラクスル株式会社代表取締役社長CEO)
斬新な発想で印刷業界に大きな変化を巻き起こしたラクスル。本稿では、創業者である松本恭攝と松本の事業の足跡をたどる。遊休印刷機械をインターネットで結びつけ、効率的に活用することで、ラクスルは中小企業が大手企業の下請けから脱する新たなプラットフォームを築き上げた。その後、同社は輸送業界の遊休車両を活用するハコベルでさらなる成長に向かっている。同社の成長過程からは、現在、日本でもスタートアップを中心に優秀な人材のネットワークが拡大し、実績のあるアントレプレナーたちが自分の認める人材を支援するエコシステムが生起しつつあることがわかる。これを属人的なステージからよりアクセシビリティーの高いシステムにすることが、日本のスタートアップの未来を左右することになるだろう。

特集論文Ⅲ TBM
――社会的な課題をビジネスに転換するグリーン・アントレプレナー
清水 洋/山口健俊/山﨑敦義
 (一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース/株式会社TBM 代表取締役CEO)
地球環境が抱える課題を技術的なイノベーションによって解決する企業家は、グリーン・アントレプレナーと呼ばれる。LIMEXという新しい素材で水資源やプラスチックなどの課題を解決するTBMは、日本発のグリーン・アントレプレナーであり、NEXTユニコーンとして国内だけでなく、海外からも大きな注目を集めている。環境負荷の小さい素材への注目は、ヨーロッパなどの先進的な国々で高まっている。本稿では、TBM創業者の山﨑敦義が、どのようにビジネスを構築してきたのか、いかに経営資源を獲得していったのかを見ていこう。リーダーが提示するビジョンの重要性がよくわかるに違いない。

特集論文Ⅳ セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ
――世の中にないものを創り出す
米倉誠一郎/前澤優太/阪根信一
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授、一橋大学名誉教授/
 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科修士課程/
 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社 代表取締役社長
全自動衣類折り畳みロボット「ランドロイド」を開発・製造するセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは、2011年に創業されたきわめて新しい企業である。創業者の阪根信一は、祖父・父ともにスタートアップ経験者という企業家家族の出身であり、アメリカで博士号を取得した経歴もある。この企業がユニークなのは、父親の経営する企業での修業から始まりスピンアウトしたことである。本稿では、セブンドリーマーズのファミリービジネスを起点とした創業経緯と経営資源動員のプロセスを、創業者の阪根とともに考察するものである。世の中に存在しないものをコンシューマー向けにゼロベースで開発・製造し、世界に愛されるブランドをめざす、という同社の高い志と夢にかける企業のあり方から、今の日本が学べることは多いだろう。

特集論文Ⅴ エリーパワー
――卓越したテクノロジーマネジメントによるリチウムイオン蓄電システムの事業化
和泉 章/[協力]吉田博一
一橋大学イノベーション研究センター教授/エリーパワー株式会社 代表取締役社長
エリーパワーは、2006年に吉田博一が創業した大型リチウムイオン電池および蓄電システムなどを開発・製造・販売するベンチャー企業である。吉田は、住友銀行副頭取、住銀リースの社長・会長を歴任し、慶應義塾大学大学院教授を経て69歳でエリーパワーを創業した。本稿では、吉田がエリーパワー創業を決意するまでの経緯や創業の際に掲げた理念・経営方針について論じる。さらに、同社が335億円もの資金を調達し、2つの国内工場を立ち上げ、累計3万6000台以上の製品を出荷するまでに至った、独創的な材料開発や完全自動化製造プロセス開発などの卓越したテクノロジーマネジメント、経営の独立性を確保するための資金調達と株主構成、ブランド化をめざした製品開発、需要に先行した設備投資などのビジネス戦略について明らかにする。

[連載]全員経営のブランドマネジメント
[第1回]ブランドがなぜ、今、重要なのか
鈴木智子
(一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻准教授)

[連載]日本発の国際標準化 戦いの現場から
[第6回]太陽光発電 ――台頭する中国と、日本・諸外国の対応
江藤 学/鷲田祐一
(一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院経営管理研究科教授)

[連載]フィンテック革命とイノベーション
[第7回](最終回)フィンテック企業と伝統的金融機関の経営
野間幹晴/藤田 勉
(一橋大学大学院経営管理研究科准教授/一橋大学大学院経営管理研究科特任教授)


[ビジネス・ケース]
ベネッセアートサイト直島――コーポレートアイデンティティーと地域振興
新田隆司/山口翔太郎/清水 洋
(一橋大学大学院経営管理研究科博士課程/
 メリーランド大学カレッジパーク校スミススクール経営組織研究科修士課程/
 一橋大学大学院イノベーション研究センター教授)
瀬戸内海に浮かぶ人口およそ3000人の小さな島が、世界から大きな注目を集めている。それは、香川県の直島である。直島はもともと小さな漁村があった島であったが、銅の製錬産業の誘致に成功し、財政的には比較的豊かになった。しかし、世界から注目されるような島では決してなかった。どのように、直島はこれほどまでに注目されるようになったのだろう。大きく進展するのは1985年以降ベネッセホールディングスと福武財団が活動を始めてからであった。それは、経済優先ではなく、ベネッセの企業理念である「よく生きる」と地域・歴史が共存できる道を探る試みであった。ベネッセはどのようにして、直島をこれほどまでに多くの人々を魅了する地域へとつくり上げていったのであろうか。本ケースでは、地域振興という点で類いまれな成果を上げた直島とベネッセの歩みをたどりながら、新たに地域振興を考える地域と企業に対しての示唆を探っていく。

日本光電工業――AEDの開発・事業化プロセス
河野英子/大沼雅也/福嶋 路/青木成樹/竹内竜介/髙石光一
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授/
 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授/
 東北大学大学院経済学研究科教授/
 株式会社価値総合研究所 上席主席研究員/
 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授/
 亜細亜大学経営学部教授
昨今、救命救急の現場でAED(自動体外式除細動器)の重要性が注目されている。学校、公共施設などでAEDの設置が進み、使用するための訓練も数多く行われるようになった。医療知識を持たない一般市民が、AEDを使用し救命するケースも見られるようになるなど普及が進んできている。日本光電工業は、日本唯一の国産AEDメーカーである。AED後発国である日本において、日本光電はどのように市場を開拓してきたのだろうか。なぜ先行する欧米メーカーに伍して、国内シェア・ナンバーワンを獲得することができたのだろうか。本ケースは、同社のAED開発および事業戦略について考えるものである。

[ポーター賞]
第18回 ポーター賞受賞企業に学ぶ
大薗 恵美
(一橋大学大学院経営管理研究科教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
日本のイノベーションはこうして取り戻せ
アニス・ウッザマン
(フェノックス・ベンチャーキャピタル 共同代表パートナー兼CEO)

私のこの一冊
実学としてのマーケティング」現場に役立つ学問のために!
   ――石原武政『「論理的」思考のすすめ─感覚に導かれる論理』
髙橋広行
同志社大学商学部准教授



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2019年3月1日金曜日

フォーラム 2019年度

これまでのフォーラム一覧 2019年度

イノベーション研究に関する研究会を、他大学の研究者、企業人、官界人らを交えて、月1回のペースで行なっています。

2019.4.16
Christopher L. Tucci
(Professor of Management of Technology, 
 the Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne (EPFL))
”Putting “dumb money” to good use? Corporate venture capital as a complement
 to internal R&D (With Henry Chesbrough and Vareska van de Vrande)

【イノベーションフォーラム】2019.4.16 Christopher L. Tucci

イノベーションフォーラムのお知らせ 2019年4月16日

論題:
“Putting “dumb money” to good use? Corporate venture capital as a complement 
 to internal R&D (With Henry Chesbrough and Vareska van de Vrande)

講演者:
Christopher L. Tucci
(Professor of Management of Technology, 
 the Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne (EPFL))

言語:英語

日時:
2019年4月16日 (火) 16:00~17:30

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター2階・第2 IIRラボ
(Room #219) 

幹事:
青島 矢一

要旨:
The role of corporate venture capital (CVC) programs inside the firm has received relatively little scholarly attention. Do these programs substitute for traditional corporate investments, such as R&D? Or do they complement internal R&D? To further explore this phenomenon, we have developed a dataset of corporations initiating CVC programs from 1973-2001. We find that the existence of a CVC program is positively associated with the level of corporate R&D spending. We also find that a combination of having a CVC program and higher R&D spending is associated with higher firm performance, thus concluding that CVC investments can complement other corporate innovation initiatives.

2019年1月10日木曜日

【イノベーションフォーラム】2019.3.18 Donal Crilly

イノベーションフォーラムのお知らせ 2019年3月18日

論題:
“Corporate Social Counterpositioning

講演者:
Donal Crilly
(Associate Professor of Strategy & Entrepreneurship, London Business School)

言語:英語

日時:
2019年3月18日 (月) 11:45~13:30

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター2階・第2 IIRラボ
(Room #219) 

幹事:
軽部 大

2018年12月19日水曜日

イノベーション研究センター・日本経済新聞社の共同調査が公表されました



イノベーション研究センターが日本経済新聞社と共同でまとめた
「世界の主要企業の『イノベーション力』ランキング」についての記事が、
日本経済新聞(2018年12月19日、朝刊1面、17面)に掲載されました。

「(フェイスブック、アマゾン、グーグル、アップルの4社は)意思決定と事業展開のスピードを高めている」との青島矢一イノベーション研究センター長のコメントが紹介されています。


★『日本経済新聞』 2018年12月19日
「ニッポンの革新力」再生への道標(上)(1面、17面)


調査の概要
イノベーション力は公開されている決算データから、3つの指標についてスコアを測定しました。海外企業も含めて公開されている最新の決算データを使い、日本企業は2018年3月期を基本にしました。時価総額の大きい国内168社、海外150社を対象に調査を行いました。

「組織力」は外部取締役や女性取締役の割合が高いほど経営陣の多様性があり、市場変化に機動的に対応できると判断。役員の数が少なくて平均年齢が低いほど組織運営が柔軟で、意思決定が速いと評価しました。
「価値創出力」は株式の時価総額や営業利益、売上高に占める営業利益の比率、海外売上高比率などで構成。それぞれについて5年前との変化率を加味しました。
「潜在力」は研究開発投資や設備投資、販売管理費とそれぞれの5年前からの伸びを踏まえて点数をつけました。


◆日本経済新聞
『日経・一橋大「イノベーション力」ランキング』(有料会員のみ閲覧可)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39102650Y8A211C1000000/

★★ランキングの詳細は以下の日本経済新聞のHPをご覧ください。
『イノベーション力 強い企業はどこだ?』
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/innovation-index-topic/

2018年12月13日木曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2018年度 Vol.66-No.3

2018年度<VOL.66 NO.3> 特集:「新しい営業」の科学









12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社






特集:営業は身近な活動である。日本の多くの企業には営業を担当する部署があり、多くの人が営業という業務に従事している。読者の皆さんも、営業という活動を身近に感じているからこそ、この特集に目を向けてくださったのだろう。
では、私たちは営業という活動をどれほど理解しているのだろうか。確かに、日本企業の営業に関する研究蓄積は一定のものがあるし、マーケティングやセールスに関する国内外の研究蓄積は豊富である。しかし、営業活動に対する理解が十分かと問われると、かなり心もとない。少なくとも研究者にとって営業活動はわからないことが多く、いまだに営業の実践から学ばなければならない。そのためには、データや事例をより多く集めることはもちろんだが、営業について語るための言葉(概念)、見方や枠組み(モデル)を増やし、営業を理解する準備も進めなければならない。
本特集では、身近さと未知が共にある営業活動を、営業の現場で起こる現象そのものから明らかにしようと意図した。そこで、実証研究を中心に6本の論文を集めた。


特集論文Ⅰ 現場から見た日本企業の営業
野部 剛/小松弘明/生稲史彦
(ソフトブレーン・サービス株式会社 代表取締役社長/ソフトブレーン・サービス株式会社 取締役会長/筑波大学システム情報系准教授)
日本企業の営業の現場は今、どのようになっているのだろうか。営業活動には、顧客側の現場、すなわち自社の外側で行われる活動が含まれる。それゆえ、営業活動のプロセスはブラックボックス化されがちであった。
営業活動は内容がわからないゆえに、個人のやり方に委ねざるをえず、管理も結果に依存することが多かった。これでは組織としての効果的なマネジメントや、人材育成も難しい。本論文では、ブラックボックス化された営業活動のプロセスを解説し、営業活動の内容を可視化、言語化、標準化する枠組みを提案する。これらが実現することで風通しが良い営業組織となる。次代を担う営業パーソンが確かな見通しを持って育っていくような営業組織のあり方を示す。

特集論文Ⅱ セールス研究の現状と営業研究の課題――18のメタ分析論文のレビュー
稲水伸行/佐藤秀典
 (東京大学大学院経済学研究科准教授/筑波大学ビジネスサイエンス系准教授)
本論文は、セールスに関するメタ分析を行った18本の論文を中心にレビューすることで、海外におけるセールス研究の到達点を明らかにする。特に、パーソナリティーや顧客志向、職務満足、マネジメント施策とセールスパフォーマンスの関係を概観しつつ、セールスパフォーマンスに影響を与えると考えられる要因を10のカテゴリーに分けて整理する。その上で、セールス研究が個人的な要因から組織的な要因へと広がりを見せてきていることを指摘し、単なるセールスにとどまらない、日本独自の概念である「営業」について今後どのように研究を進めていくべきかを議論する。

特集論文Ⅲ データから見えてくる日本の営業
稲水伸行/鏑木幸臣
 (東京大学大学院経済学研究科准教授/ソフトブレーン・サービス株式会社 セールスサイエンティスト)
本論文では、ソフトブレーン・サービス(SBS)、東京大学、筑波大学の産学連携により開発された営業力調査票とそれによって収集されたデータ(141社815人)の分析結果を報告する。特に、営業成績下位者はマーケティングや面談・商談に至る前の準備の部分が弱いことが明らかとなった。また、営業成績トップは、数字と事例を駆使しながら、目標から逆算してプロセスを組み立て、顧客および顧客のニーズに関する仮説の立案と検証を行うという姿が確認された。こうした分析結果から見えてくるのは、いわゆるセールス(販売活動)に限定されない広がりを持つ営業の姿である。

特集論文Ⅳ 営業活動における組織能力向上――組織ルーティンの形成とその移転
山城慶晃
東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員
本論文では、営業活動の成果向上に組織として取り組むとはいかなることかといった問題意識から、複数企業の事例を紹介する。業種や業態、規模は異なるものの、「営業プロセス+標準化+成果」という共通項を持つ事例を検討し、汎用的フレームワークであるゴールからの逆算により、自拠点の営業活動を再認識し、自拠点でのボトルネックを特定して打ち手の探索範囲を焦点化し、深掘りをして、拠点独自の新しくて優れた組織ルーティンを形成していたことが確認できた。また、拠点独自の優れた組織ルーティンを横展開する場合、組織ルーティン形成の存立条件がそのまま組織ルーティンが移転されない条件となる、二律背反的な構造があることを仮説として提示する。

特集論文Ⅴ 価値共創型営業への道筋
小菅竜介
立命館大学大学院経営管理研究科准教授
サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)に注目すると、これからの営業のあり方として、顧客による多様な資源の統合を導く「価値共創型営業」を見いだすことができる。そこでは、営業担当者は、現場のデ
ィレクターとして資源を協働的にアレンジする役割を担う。伝統的なモノ中心の営業から脱却して、このような営業を具現化する上では、本社と営業現場の間で対話が行われなければならない。その上では、距離から派生する社会的アイデンティティーの問題に焦点をあわせるとともに、人をどう選抜し、育成するかが重要である。本論文では、先行研究と自動車ディーラーの事例に基づいて、営業が価値共創型に向かっていくなかでの基本的な課題を検討する。

特集論文Ⅵ AIは営業担当者の働き方をどのように変えるか
伊達洋駆/山本 勲
株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役/慶應義塾大学商学部教授
人工知能(AI)技術を伴う営業支援サービス(セールスAI)が次々とリリースされている。本論文では、労働経済学の先行研究レビュー、一般労働者対象の大規模アンケート、セールスAI導入企業へのインタビューを実施したが、これらの結果に基づけば、セールスAIの活用によって営業担当者の働き方はさまざまな側面で変わりうる。たとえば、定型的なタスクはセールスAIに代替され、営業担当者は商談などの顧客コミュニケーションにさらに多くの時間を投じるようになる。このような変化は、営業担当者に高い満足度とやりがいをもたらす一方、ストレスの負荷も大きくなるだろう。また、セールスAIの導入は営業活動の分業化を促進し、広範囲の業務に属人的に取り組む従来的な営業のあり方が見直される可能性もある。

[ビジネス・ケース]
Gogoro――電動スマートスクーターのイノベーション
延岡健太郎/白 哲綸 
(大阪大学大学院経済学研究科教授/ビットキャッシュ株式会社 コーポレート統括本部)
台湾での電動スマートスクーター事業を展開するGogoroは、2011年に設立し、2018年の見込みでは、すでに年間7万台を販売する成功を収めている。同社のスクーター「Gogoro」は電動であるだけでなく、スクーターの多くの操作や、充電のためのエネルギーマネジメントをソフトウェアで行う。さらに、画期的なのは、台湾全土の主要都市にバッテリー交換の大規模なインフラも同時に構築し、ユーザー自らが充電を必要としない利便性とCO2削減という社会課題を同時に解決したことである。創業者ホレイス・ルークは、これを起業後3年あまりという短期間で実現した世界でもまれに見るイノベーターである。本ケースでは、ルークのビジョンと経営を中心に、顧客の経験価値を重視した商品・サービス開発の経緯、そして、広がりつつある海外展開までを描く。

英國屋――中小企業の事業承継とリーダーシップ
佐々木 肇/西原友里子
(一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース/一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース)
江戸時代から続く国内ショッピングのメインストリートであり、日本一地価の高い銀座通りに本店を構える英國屋は、創業から約80年を迎える老舗の高価格フルオーダースーツメーカーであり、政財界の名士に愛されるブランドとして認知されている。1990年代、圧倒的なカリスマ性を誇った創業者を失った英國屋は、バブル景気の崩壊とともに、その業績を大きく悪化させ、破産寸前にまで追い込まれることとなった。そうした混乱のなか、弱冠28歳の新社長の就任を契機に、生え抜きの副社長を中心とした新執行部が組成され、英國屋はその後の業績を大きく改善することに成功した。

[私のこの一冊]
反マーケティングを標榜する雑貨店店主の不可思議な物語
   ――長谷川義太郎『キッチュなモノから すてがたきモノまで 文化屋雑貨店』
松井 剛
一橋大学大学院経営管理研究科教授

[随想]現象学的経営学に向けて
野中郁次郎
(一橋大学名誉教授)
われわれは、知識を基盤とした経営学を構築しようと試みてきた。知識の最大の特質は、「人が関係性のなかで創る資源である」ということである。知識は、天然資源のように誰かに発見されるのを待っている物的資源ではなく、人が他者あるいは環境とのダイナミックな関係性のなかで創り出すものであり、そのときの文脈や知識を使う人の性質によって、その意味や価値が異なってくる資源なのである。われわれは、知識を「個人的な信念(思い)が真実へと正当化されるダイナミックな社会的プロセス(A dynamic social process of justifying personal belief towards the truth)」と定義した。つまり、知識とは人の、他者との相互作用を通じて、何が真・善・美であるかを探求し続けるプロセスであり、そうした信念(主観)と正当化(客観)の相互作用にこそ知識のダイナミクスがあると考えている。
知識は、人の主観と切り離された客観的で絶対的な知として「存在する」のではなく、主観的で相対的な文脈に依存し、相互主観性を通した変化プロセスのただなかで知識に「成る」のである。知識創造理論の哲学的基盤は多様であるが、改めて現象学に焦点を絞り、われわれの理論の内実をさらに深めるとともに、日本発の現象学的経営学へとより一般理論化する大きな枠組みを考えてみたい。

[連載]フィンテック革命とイノベーション
[第6回]フィンテック革命と世界の金融機関の経営
野間幹晴/藤田 勉
(一橋大学大学院経営管理研究科准教授/一橋大学大学院経営管理研究科特任教授)

[連載]日本発の国際標準化 戦いの現場から
[第5回]ナノテクノロジー ――産業利用と安全のバランス
江藤 学/鷲田祐一
(一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院経営管理研究科教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
ベンチャーの使命は、ピカピカのケースを見せることにある
出雲 充
(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長CEO)


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