2011年12月31日土曜日

2003年度 Vol.51-No.1

2003年度<VOL.51 NO.1> 特集:キャリアをつくる 


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2003年度<VOL.51 NO.1>
特集:キャリアをつくる働く人のキャリアの問題が経営学のなかでもクローズアップされるようになってきた。その背景には、組織に依拠した働き方から、キャリアとは個人の自律的選択にゆだねられるべきものだという認識の高まりがある。個人の自立・自律を称えながらも、キャリア発達支援をするにはどうすればいいのか。組織内の専門職、あるいは経営幹部候補の発達課題に対して、どう取り組み、その倫理観やモラルのディレンマとどう対峙したらよいのか。組織のなかの個人、経営者や人事部・人材開発にとってのキャリアの新しい意味づけを考える。
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花田光世
(慶應義塾大学総合政策学部教授・キャリア・リソース・ラボラトリー代表)
宮地夕紀子/大木紀子
(キャリア・リソース・ラボラトリー研究員)
キャリア自律の新展開--能動性を重視したストレッチング論とは
  従来多々あるキャリア開発論のなかで中核的位置を占めていたのは、自分でコントロールできない非日常的変化や不安経験への受身の対応を通じてキャリアが構築されていくプロセスを重視したTransition論であった。これに対して近年、日常経験のなかで能動的に行動変容を図るという側面に着目した Planned Happenstance論がキャリア自律論における新たなアプローチとして注目を集めるようになってきたが、その実践での活用はいまだ確立されていない。本稿では、Transition論とPlanned Happenstance論の融合をバリューストレッチングにより試みた。また、キャリア自律ではTransition論の転機という局面よりも、むしろ日常行動のなかでの能動性に価値が置かれ、いかに連続的・断続的に実践活動を行うかが重要となる。この趣旨に沿って、SFCキャリア・リソース・ラボラトリーで開発されたキャリア自律プログラムを紹介し、バリューストレッチングをキャリア自律のなかに組み込む重要性の指摘を行った。 。
宮城まり子(立正大学心理学部助教授) キャリア発達を支援するキャリアカウンセリング
  企業や組織に働く人々のキャリア開発は、従来の「企業主導型」から「個人主導型」へと、急激な転換が求められつつある。そのために生じる精神的ストレスや不安や焦り、仕事への意欲の減退いった問題をやわらげ、個人のキャリア開発を支援する1つの方法として重要視されつつあるのが「キャリアカウンセリング」である。本稿では、キャリアカウンセリングの役割や意義、基礎理論を踏まえつつ、効果的なキャリアカウンセリングの進め方とその方法、今後の課題を解説する。
久村恵子
(新潟経営大学経営情報学部専任講師)
渡辺直登
(慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)
メンタリングから見たキャリア発達論
  「人は意義ある他者との関係性を通じて発達していく」といわれる。社会で働く成人にとって、職場の上司と並ぶ「意義ある他者」がメンターである。メンターとの関係性を構築し、メンタリングを享受することは、キャリア発達にとって極めて重要である。人はプロテジェ(未成熟者)からメンター(成熟者)へと発達していく過程でどうキャリアを発達させていくのか。また、個人がキャリア上の発展課題を達成するうえで、メンタリングがどんな役割を果たすのか。本稿ではこの2つの視点をもとに、メンタリングとキャリア発達の関連性を考える。
勝原裕美子
(兵庫県立看護大学助教授)
モラル・ディレンマと看護専門職の組織内キャリア
  モラル・ディレンマとは、自らの倫理観と社会や組織の価値観との板ばさみになることであり、それをどう乗り越えるかは、個人の生き方そのものに対して突きつけられる問いでもある。特に組織内での専門職(プロフェッショナル)として働く個人は、プロとしての職業倫理と、組織の価値観とのあいだの相克に直面しやすい。本稿は、組織内専門職の代表として病院内で働く看護専門職を取り上げ、そのディレンマの実相を描くとともに、キャリア形成上の影響を考える。
金井壽宏
(神戸大学大学院経営学研究科教授)
守島基博
(一橋大学大学院商学研究科教授)
金井則人
(セイコーエプソン株式会社情報機器総務部長)
リーダーシップ開発とキャリア発達--選抜型の次期経営幹部の育成をめぐる理論と実践
  戦略発想で変革思考をもったリーダーシップが、今求められている。リーダーとなるべき人物は、どのようなキャリアを通じて輩出されていくのか。また、そうした次世代のリーダーをいかに育成していったらよいのか。リーダーシップを発揮できる人材を生み出す鍵は、主に仕事経験の連鎖のなかで一皮むける「転換」の機会が得られるかどうかだろう。選抜型の経営幹部育成プログラムの事例の検証を交えつつ、人材マネジメント論、組織行動論、人材・教育の実践という複眼的視点から、リーダーシップ開発とキャリア発達の問題を論じる。
●ビジネス・ケース
青島矢一
(一橋大学イノベーション研究センター助教授)
オリンパス光学工業:デジタルカメラの事業化プロセスと業績V字回復への改革
  デジタルカメラ市場は、1990年代半ば以降驚異的なスピードで拡大し、 30社近い企業が参入し熾烈な競争を繰り広げている。 1996年、この市場に後発メーカーとして参入したオリンパス光学工業は、「銀塩カメラの代替としてのデジタルカメラ」の普及に成功した。ただ、短期間にトップ企業の一角に上りながら、部品価格の高騰、商品政策のつまずきから、2001年3月期には部門収益が赤字に転落。その2年後には業績のV字回復を実現するなど、市場の厳しい「波」を経験してきた。この競争市場において、同社のデジタルカメラ事業が成長を遂げられたのはなぜか。また、ごく短期間で収益回復できたのはなぜか。オリンパスのデジタルカメラ事業の変遷を追い、今後の展開を考える。
中馬宏之
(一橋大学イノベーション研究センター教授・経済産業研究所ファカルティフェロー)
安川シーメンス:オープン・モジュラー型CNCで“巨人”ファナックに挑む
  安川シーメンスNC(YSNC)は、工作機械用CNC(コンピュータ数値制御装置)の開発・製造・販売会社として安川電機と独シーメンスの合弁で設立された。工作機械用CNCは、ドミナント・デザイン化した独自仕様のG言語を有するファナックが国内外にて圧倒的シェアを誇る市場だが、工作機械に対する高度化・複合化・微細化要求が急速に増大する環境変化のなか、オープン・アーキテクチャに基づく高度なモジュラー性を特徴とするYSNC製のCNCは、その柔軟かつ高速な多岐多系統同時制御性によって、同業他社に大きな脅威を与え始めている。 CNC業界全体のビジネス形態をも変化させる可能性を秘めた YSNC製CNCのこうしたテクノロジー特性とその市場へのインパクトを、聞き取り調査をもとに分析する。
●連載:経営学のイノベーション
 高橋 潔/金井壽宏 「元気の出る経営行動科学(7)人事評価をめぐる根本問題」
蜂谷豊彦/中野 誠 「戦略ファイナンスへの招待(2):企業価値とコーポレート・ガバナンス」
●連載:産業レポート
 青島矢一 「デジタルスチルカメラ」
●コラム連載:経営学のフロンティア
 加護野忠雄 「戦略駆動力を理解しよう」
●マネジメント・フォーラム
 河野栄子(株式会社リクルート代表取締役社長):インタビュアー・米倉誠一郎
 「リクルートらしさに「効率」という視点も加えたい」
●投稿論文
 「バイオに見る情報ドリブンな産業の二重の性格--オーダーメード医療とコンピュータ操作からのブレークスルーの対照」 
 高橋琢磨
●用語解説
 田中一弘 「執行役員(執行役)」


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