2011年12月31日土曜日

2003年度 Vol.51-No3

2003年度<VOL.51 NO.3> 特集:無形資産のマネジメント 


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2003年度<VOL.51 NO.3>
特集:無形資産のマネジメント企業の競争優位を確立し、企業価値を向上させるためには、生産設備や土地などの有形資産への投資対効果を高めるだけでなく、企業ブランドや知識、特許などの無形資産をいかにうまくマネージするかが問われるようになってきた。本号では、経営戦略論、知識論、経済学、マーケティング、会計学など様々な分析角度から、無形資産を企業価値に結びつけるための理論や方法を論じる。
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伊藤邦雄
(一橋大学大学院商学研究科教授)
コーポレートブランド経営の新展開
  「米国型経営」対「日本型経営」という二極論を超え、顧客・従業員・株主という主要ステークホルダーの価値を連鎖的に高めるための新しい経営モデル「コーポレートブランド経営」を筆者が世に問うてから約4年が経つ。「コーポレートブランド」とは、人々がその会社に対して抱くイメージを決定づける無形の個性であり、他社との差異化を実現し、企業としての圧倒的な存在感と信頼感を生み出すものである。それはまた、企業価値創造の源泉としてのヒト、モノ、カネ、情報に次ぐ「第5の経営資源」として、ますます重要度を増している。本稿では、コーポレートブランド経営をより進化させるために、そのねらいや意義をあらためて認識するとともに、筆者によって開発された実践的手法の活用方法を示す。
一條和生
(一橋大学大学院社会学研究科教授/同大学院国際企業戦略研究科教授)
知的資産活用の経営--狭義のナレッジ・マネジメントから広義のナレッジ・マネジメントへ
  企業がその知識を競争優位の源泉とするためには組織内にある既存知識の共有活動にとどまらず、知識を生み出し、蓄積、活用、保護するとともに、それらを首尾一貫した活動として促進する「イネーブリング・コンディション」の整備までも包含した広義のナレッジ・マネジメントが不可欠である。本稿では、液晶事業を中心に数々の技術的イノベーションを実現し、業績的にも優れたパフォーマンスを上げるシャープの事例をもとに、ホリスティックな知的資産活用の経営モデルを提示する。
内田恭彦
(リクルートワークス研究所研究開発グループマネジャー・主任研究員)
日本企業の継続革新能力と知的資本
  知的資本とは、組織がその運営上有効と考える情報が蓄積され、再現可能な形態で保持されているものである。日本企業には、資源蓄積型の経済合理性を追求し、資源先行型の競争行動と事後能力の優秀さによって競争優位を確立してきたという特徴があり、その結果、現場レベルを主にした企業特殊的な知的資本が確立されてきた。しかし、これからの日本企業に必要なのは、この特徴を最大限活かしつつ、社内外の知的資本を活用しながら組織全体を継続的に革新する能力である。本稿では、この継続革新能力と知的資本の関係を考察するとともに、継続革新能力の構造・プロセスを分析し、それを有効に機能させるための条件を明らかにする。
永田晃也
(北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教授)
イノベーション・プロセスへの知的財産マネジメントの統合
  経営資源としての知的財産権の重要性への認識が高まるにつれ、知的財産権の取得や権利行使について、戦略的に取り組む企業も増えてきた。それと呼応するように、産業政策においても「知的財産基本法」の施行に代表されるような、米国式のプロパテント政策への傾斜が目につく。しかし、個々の企業による知的財産マネジメントの最適化の追求は、その企業や産業全体のイノベーションの促進に結びつくとはかぎらない。知的財産マネジメントは、研究開発、生産、マーケティングなどの部門との連携を通じて、イノベーション・プロセス全体のなかに有機的に統合されるべきではなかろうか。日本企業の知的財産部門を対象とした調査データをもとに、知的財産、特に特許に関するマネジメントのあり方について重要な示唆を引き出す。
阿久津聡
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授)
ブランド価値経営の本質
  かつては広告・マーケティング担当者だけの関心事とされてきたブランドが、日本でも企業経営全体にとっての中心的課題として認識され始めている。ブランド価値向上のを全社的取り組みとするためには、財務、人材管理、技術開発など、一見ブランドとは無関係に見える様々な企業活動や経営課題をブランドいう軸で統合し、整合性のあるものにしていく努力が必要となる。本稿では、ブランド価値経営の模範企業であるインテルの事例を参照しつつ企業の競争戦略の要としてのブランド戦略の重要性を考え、その実践のための具体的な道筋についてアウトラインを示す。
加賀谷哲之
(一橋大学大学院商学研究科専任講師)
無形資産の開示とIR
  相次ぐ企業不祥事を背景とした会計不信、資金調達構造の変化などといった問題を背景に、企業の情報開示のあり方を問い直す動きが世界的に広がっている。なかでも、企業価値の決定因子としてますます重みを増しつつある技術ノウハウ、特許、ブランド、人的資本といった無形資産をどう測定・定量化し、会計・財務情報のなかに反映させるかは、企業に対しての市場の評価の正当性を高めるためにも、また会計情報への信頼性、有用性を高めるうえでも、非常に重要な課題である。本稿では、日本企業の情報開示についての問題点を実証データを交えて整理するとともに、無形資産の情報開示の意義とその望ましいあり方を考える。
●特別寄稿
野中郁次郎;紺野 登
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授;(株)コラム代表・多摩大学大学院客員教授)
「知識ベース企業」で何が見えてくるのか
  これまで「知識経営」は、無形の知的資源や組織的な知識獲得も含んでいるために、企業の資源ベース理論や組織学習理論と同一平面上に位置づけられることが多かった。しかし、組織的知識創造理論は、認識論や存在論といった、従来の経済学や行動科学をベースとする企業理論とは全く異なる世界像(ルート・メタファー)を持つ。それは、知識を基盤とした企業理論の新たなパラダイムを構成するものである。知識は、個の信念(主観)が社会的相互作用の過程で正当化されていくことで、価値を生み出す知識資産となる。また、知識は意味内容が文脈依存で、多元的、動態的であり、知識共有や創造のためには、情報処理理論に基づく組織的分業とは異なる組織論(「場」の組織)を要請する。これらの社会的相互作用や場におけるダイナミクスは、理念的側面(アイデアリズム)と実践的側面(プラグマティズム)のせめぎあう弁証法的知のプロセスから生まれる。本稿では、こうした観点を考察しながら、今後の「知識ベース企業」の課題と基本命題を提示する。
●ビジネス・ケース
楠木 建;山中章司
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授;一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営修士課程)
ワールド:UNTITLEDのビジネス・モデル
  婦人服の卸売専業で成長を続けてきたアパレル大手のワールドは、 1980年代半ばに旧来の卸型ビジネス・モデルの限界に直面。 90年代以降、自社ブランドの商品企画・開発・販売を統合した SPA(アパレル製造小売専門店)事業に着手し、消費者起点のサプライチェーンづくりを推し進めてきた。 OZOC(オゾック)ブランドからスタートした同社のSPA事業は、第2弾のUNTITLED(アンタイトル)でさらに進化。外部の素材・縫製メーカーまでを巻き込んだ生産システムとの統合により、在庫ロスのみならず、機会ロスの最小化により、同社の業績向上の牽引役となっている。 UNTITLEDのビジネス・モデル確立に至る足跡をたどり、 SPAを中心としたワールドの持続的な成長の可能性を考える。
高梨千賀子
(一橋大学大学院商学研究科)
ハウス食品:玉葱催涙因子合成酵素の発見と研究成果の事業化
  富士電機リタイルシステムズの主力事業である自動販売機事業は、硬貨、紙幣識別機能などの主要部品を含めた自社生産・量産体制の確立とフルライン化、機械のメンテナンスやファイナンス支援までのサービスを一貫して提供するトータル・マーケティング戦略により後発としてのハンディを克服し、国内トップシェアを握るまでに成長した。ただ、市場の成熟化、低価格競争の激化に加え、飲料メーカーが主導権を握る業界の構造上の問題などにより収益性は低下傾向にある。富士電機リテイルシステムズのこれまでの成功要因を探るとともに、今後の新たな競争優位の戦略を考える。
●連載:経営学のイノベーション
 蜂谷豊彦/中野 誠 「戦略ファイナンスへの招待(4):企業価値を創造するための財務戦略」
●コラム連載:経営学のフロンティア
 加護野忠男  「「柔軟なルール」について考える」
●マネジメント・フォーラム
 新浪剛史((株)ローソン代表取締役社長):インタビュアー・米倉誠一郎
 「人をやる気にさせるのがマネジメントの原点です」
●用語解説
 荻野 司 「ユビキタス」



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