2011年12月31日土曜日

2003年度 Vol.51-No.4

2003年度<VOL.51 NO.4> 特集:MOTを考える


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2003年度<VOL.51 NO.4>
特集:MOTを考える技術をもとに新産業を創成し、産業競争力を向上させる必要性が叫ばれるなか、 MOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)という概念が脚光を浴びている。日本においては、MBAと並ぶ実践的教育プログラムとして先に浸透した観のある言葉だが、その意味するところはより深遠である。日本にとって必要なMOTとは何か、どうすればこの概念を活かした効果的な経営ができるのか。 MOTを生んだ米国との比較を交えつつ、MOTの本質をより深く考えるための材料を提供する。
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生駒俊明
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授/日立金属(株)取締役)
企業価値を最大化するための技術経営
  MOT(技術経営)という概念は極めて広い内容を包含するが、経営者が技術革新の本質を理解し、それを活かした戦略立案能力を持つとともに、研究者・技術者も「経営の技術」を身につけることが重要だという両義性を持つ。この概念を今日の日本企業に活かすには、企業価値の最大化こそが経営の目標であり、競争の原動力であるという認識を共有し、そのために実践的な手法を身につけることが大前提となろう。さらに、国としての産業・技術力の再建という視点からは、先端分野における基礎技術力の強化のために企業、政府、大学の相互連携を促進する必要もある。産学双方におけるMOTの実践者としての経験をもとに、「技術立国」日本の再生に不可欠な経営革新手法としてのMOTの意義を論じる。
ロバート・E・コール
(UCバークレー・ハース・ビジネス・スクール名誉教授/同志社ビジネススクール オムロンチェアプロフェッサー・技術経営プログラムディレクター)
米国におけるMOTの進化--UCバークレーMOTプログラムでの経験を踏まえて
  1980年代、米国の大学において創設された数々のMOTプログラムは、競争力強化のために技術資産の商業化の手法や人材を求める米国産業界からの強い要望と支援を受け、個々の大学が主体的に作り上げてきた。 MOTを必要とした経済・競争環境面では、今の日本に通じるものがあるが、日本のMOT教育が政府主導でその財政支援の下、工学系大学を中心に展開されようとしている点は米国での取り組みと大きくかけ離れている。本稿では、米国UCバークレー校のMOTプログラムに携わった筆者の経験をもとに、米国のMOTの特徴と教育内容、その成果を検証するとともに、日本のMOT教育の現状についての問題点や課題についても論じる。
橋本正洋
(経済産業省大学連携推進課長)
MOTのすすめ--産学連携による新たな人材育成に向けて
  研究開発投資額や特許数では世界有数の地位にある日本だが、技術を経営に活かすマネジメント能力の面における評価は低下傾向にある。日本の産業競争力の要は製造業であり、その研究開発活動成果をより効率的に事業に結びつけるためには、技術の予測・評価から生産までの最適な事業計画を立案・実行する技術経営(MOT)の担い手の強化・育成が重要な課題といえる。本稿では、日本におけるMOT教育の必要性を述べるとともに、その推進のためのこれまでの政府の取り組み、今後の展望を紹介する。
香山 晋
((株)東芝 執行役員上席常務 電子デバイス事業グループCTO)
半導体産業に見る技術革新と技術経営
  日本の半導体産業は、痛みを伴った事業再編・構造改革の効果とディジタル・コンシューマ市場の拡大によって、長い混迷の時代からようやく抜け出したかに見える。しかし、この勢いを持続し、さらなる発展ほと結びつけるためには、過去の成功と失敗の原因、海外の競合相手とのビジネスモデルの違いを技術革新、技術経営という観点からいま一度検証し直し、そこから将来に向けた戦略上の教訓を引き出す必要がある。総合半導体メーカーにおける技術経営の実務経験をもとに、競争力の源としての技術革新の本質と、日本型MOTのあり方を論じる。
リチャード・A・ガッチョウ
(ラム・リサーチ副社長)
キャリアとしてのMOT--科学者から経営者への転身
  物理化学の科学者としてスタートし、AT&Tベル研究所の研究者・管理職を経て、現在、半導体製造装置メーカーの経営に携わる筆者の経歴は、米国のハイテク産業における個人のキャリアとしてのMOTの1つの典型といえる。その歩みは、1980年代以降、米国企業の研究開発体制の変化が、優秀な研究者の生き方にどう影響したかを示す貴重な事例でもある。本稿では、筆者がキャリア形成の過程において、いかに数々の生涯や失敗を乗り越えて学習し、技術経営者として成功するための実践的な教訓を得ていったかを振り返る。
●ビジネス・ケース
米倉誠一郎;笠崎州雄
(一橋大学イノベーション研究センター教授;東洋大学経営学部4年)
フレッシュネスバーガー:成熟市場における後発企業の参入戦略
  日本のハンバーガー市場は、デフレ経済の長期化等により 2000年以降成長が伸び悩んでいる。圧倒的な低価格戦略で一時は「ひとり勝ち」といわれた日本マクドナルドですら、価格政策の修正が逆効果となり、創業以来の大幅な収益悪化に直面している。もはや成熟した観のあったこの市場に、1990年代、最後発チェーンとして現れたのがフレッシュネスバーガーである。同社は「手作り感」「おいしさ」を武器にするとともに、創業者の作りたて弁当事業での経験を活かしたオペレーションのローコスト化により、創業以来、緩やかながら収益拡大を続けている。フレッシュネスバーガーの参入・成長・多角化戦略を考える。
堀川裕司
(一橋大学大学院商学研究科博士課程)
荏原製作所:CMP装置産業における技術革新
  複数の層からなる半導体デバイスの各層をミクロン・ナノレベルで平坦化するのがCMP(化学的機械的研磨)プロセスであり、これが半導体の技術進歩の鍵を握るプロセスの1つになっている。このCMP装置産業において、研磨機と洗浄機を一体化した装置を開発し、後発でありながら世界のトップ企業に上り詰めたのが荏原製作所である。同社のCMP装置産業における競争優位はどのように確立されたのか。また以前競争力を持っていた既存の研磨機メーカーや洗浄機メーカーにはなぜそれができなかったのか。さらに一旦は獲得したトップの地位を、同じく後発の企業に明渡すことになったのはなぜか?荏原製作所のCMP装置開発のプロセスを追いながら、技術を基礎においた企業間競争の問題について考える。
●連載:経営学のイノベーション
 中野 誠/蜂谷豊彦
 「戦略ファイナンスへの招待(5):ディスクロージャー戦略と資本市場」
●連載:ブランディング・イン・チャイナ:中国消費市場におけるマーケティング戦略(1)
 古川一郎 「総論:ブランディング・イン・チャイナ」
●コラム連載:経営学のフロンティア
 加護野忠男 「諫言を保障する文化と制度」
●マネジメント・フォーラム
 安藤忠雄(建築家):インタビュアー・米倉誠一郎
 「感性を磨け、挑戦する心を解き放て」
●第3回ポーター賞
 「受賞企業・事業から学ぶ」 
 大薗恵美
●用語解説
 安藤史江 「組織学習」



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