2011年12月31日土曜日

2004年度 Vol.52-No.2

2004年度<VOL.52 NO.2> 特集:日本企業のトップマネジメント


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2004年度<VOL.52 NO.2>
特集:日本企業のトップマネジメント企業経営のリーダーとしてのトップマネジメントに対する関心が高まっている。経営力回復のためには、企業のトップがもっとリーダーシップと戦略構築能力を持たなくてはならないという危機感があるからである。では、企業経営者やトップマネジメントとはどういう人々で、何をするべき人々なのか。その役割や育成において、外国や戦前の日本などと比べてどんな特徴があるのか。その特徴が、今のトップマネジメントの機能不全の原因になっているのではないか。日本企業のトップマネジメントの実像についてミクロ・マクロの両面からの分析を踏まえ、その機能面、育成面における課題を考える。
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伊丹敬之
(一橋大学大学院商学研究科教授)
よき経営者の姿
  大きな組織の頂点に立つ「よき経営者」といわれる人々に共通する特徴とは何だろうか。経営者には、組織の求心力としての「リーダー」「組織の顔」「設計者」という3つの役割がある。こうした役割を果たすためには、「エネルギー」「決断力」「情と理」といった資質が不可欠であり、そのうえで、日常の事に当たる際には「他人を通して事を為す」「大軍を統率する」「大きな責任を自覚する」といった意識の持ち方も重要な要素となる。本稿では、「よき経営者」という経営者の理想型を、役割、資質、意識の3つの視点から深く考える。
丹羽宇一郎
(伊藤忠商事株式会社代表取締役会長)
企業のトップとして大切なことは何か
  変革期の企業のトップとしてのあるべき姿とはどういうものだろうか。筆者は6年前、バブル期の負の遺産の重圧のなかで伊藤忠商事の社長に就任し、関連事業の整理、巨額の損失処理といった荒治療を断行するなど、数々の企業改革を実践し、中長期的な収益力回復に向けた礎を築いてきた。その原動力となったのは、米国型の株主偏重の「他律的」経営手法ではなく、会社のため、社員のため本当に必要なものは何かをひたすら自問し続ける「自律的」でかつ倫理的な独自の経営スタイルである。社長就任時の公約どおり、6年の任期をもって社長の座を退いた今、実体験をもとに、真のトップに求められる役割と資質、意識について論じる。
田中一弘;守島基博
(一橋大学大学院商学研究科助教授;一橋大学大学院商学研究科教授)
戦後日本の経営者群像
  日本の経営者はどのくらいの期間、社長の座に就き、そこに至るまでにどんなキャリアを積み、退任後はどうなるのか。そして、その平均的な姿は時代とともにどう変遷してきたか・・・・。戦後日本の経済発展の担い手であった経営者の実像を客観的・体系的に探るため、筆者らは現在、「一橋・経営者データベース」の構築を進めている。本稿では、その中間成果として、主要100社の歴代社長714名の全体像を概観するとともに、社長のプロフィールが時代ごとにどう変化してきたのか、そこから浮かび上がる近年の日本企業の経営者のあり方における問題点は何かを考える。
岡崎哲二
(東京大学大学院経済学研究科教授)
戦前日本における専門経営者雇用の決定要因と効果--綿紡績会社を中心として
  日本企業では、第二次世界大戦期以降、従業員のなかから内部昇進した専門経営者が主流となった。戦略的意思決定能力よりも、各企業が持つ人的資本・労働力を適切に管理・運営する能力が求められたことがその理由として考えられる。さかのぼって、そうした専門経営者に対する需要の萌芽が見られ始めるのは、所有と経営の分離が始まった戦前の大企業においてである。工場数の増加や複数事業の展開などで企業活動が複雑化したことや所有グループ内の経営者供給能力の制約などの理由によって企業の専門経営者に対する需要が高まったと考えられる。本稿はそのことを実証するため、戦前の綿紡績会社における専門経営者雇用の決定要因と効果を定量的に分析する。
三品和広
(神戸大学大学院経営学研究科助教授)
専門経営者の帝王学
  米国では、所有から分離された有能な専門経営者こそが企業の飛躍的発展を可能にするという前提の下、MBA学位による選抜、ファスト・トラックと呼ばれる企業内のキャリアコースなど、専門経営者育成・供給のための社会的制度が確立している。一方、日本においても所有と経営の分離は進んだものの、実質的な経営の担い手は、一般社員と同質的な俸給経営者であり、非所有経営者の増加に伴い、日本企業は収益力を落とす傾向すら見られる。専門経営者の供給という点で、日本の現状にはどんな問題があるのか。また、日本企業の優位性を接続しつつ専門経営者を選抜・育成する仕組みをどのように構えたらよいのかを考える。
●特別寄稿
野中郁次郎;遠山亮子;紺野 登
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授;北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教授;株式会社コラム代表・多摩大学大学院客員教授)
知識ベース企業理論--戦略経営のダイナミックな進化に向けて
  代表的な企業戦略の理論としては、市場ポジショニング派や資源ベース学派がよく知られるが、これらの理論は、環境の分析、ないしは経営資源に基づく選択に重点が置かれ、企業が戦略を立てるうえでの「目的」や、それが立案・実行される「プロセス」の明確な概念化ができていない。こうした既存の理論の限界を踏まえ、知識創造の動的な主体としての企業を捉える新たな企業理論を提示することが本稿の目的である。この理論は、人間の認識論と存在論とをルートメタファーとし、企業が環境との相互作用のなかで戦略と資源を創造するダイナミックな弁証法的プロセスに注目したものであり、より包括的に知識創造企業の本質に迫るものである。
●ビジネス・ケース
石倉洋子
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)
劇団四季:演劇ビジネスのイノベーション
  2003年7月に創立50周年を迎えた劇団四季は、全国の主要都市7カ所にある専用劇場を中心に、『オペラ座の怪人』『ライオンキング』『マンマ・ミーア!』など数々の海外ミュージカルを中心にロングラン公演を続け、日本屈指の規模と高収益性を誇る演劇企業である。カリスマ性のある創業者、浅利慶太(現取締役芸術総監督)の強力なリードのもと、作品主義、顧客志向といった明確なビジョンを打ち立て、ぴあなどとの提携による販売チャネルの複数化、ファンの会「四季の会」(会員数約17万人)の組織化、地方ロングラン公演の実現、修学旅行者向け市場の開拓といった演劇界の常識を打ち破る数々の革新を実現してきた。劇団四季の強みと、これからの課題を考える。
坂本雅明
(一橋大学大学院商学研究科経営学修士課程)
東芝:二次電池市場における事業化への挑戦と撤退
  携帯電話やノートパソコン向けの繰り返し使用可能な充電池を二次電池という。100年もの間、革新的なイノベーションが見られなかった二次電池市場において、東芝は1991年に、エネルギー密度が高く有害性の低いニッケル水素電池の開発に成功し、既存企業を脅かす存在にまでになった。しかし、東芝の優位性は長くは持たず、また、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン電池に需要がシフトしたこともあり、2001年にニッケル水素電池事業からの撤退を余儀なくされた。並行して取り組んできたリチウムイオン電池事業からも2004年に撤退を決定し、東芝における二次電池事業に終止符が打たれた。後発企業の東芝が、既存企業に先駆けて画期的な技術開発に成功できたのはなぜだろうか。またそのような優れた技術を持ちながら、最終的に事業撤退に至ってしまったのはなぜだろうか。
●連載:ブランディング・イン・チャイナ:中国消費市場におけるマーケティング戦略(3)
 金 春姫;古川一郎 「化粧品:イメージ・メーカーの戦い」
●コラム連載:戦略思考の技術(2)
 沼上 幹 「時間展開という落とし穴」
●マネジメント・フォーラム
 林野 宏(株式会社クレディセゾン社長):インタビュアー・米倉誠一郎
 「勝負は一番でなければおもしろくない」
●用語解説
 柳瀬典由 「リスクマネジメント」



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