2011年12月31日土曜日

2007年度 Vol.55-No.1

2007年度<VOL.55 NO.1> 特集:新・現場力の論理  


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2007年度<VOL.55 NO.1>
特集:新・現場力の論理机上の戦略論やMBA教育の限界が明らかになるにつれ、生産・サービス現場のオペレーション能力の向上が重視されてきている。さらに、そうしたオペレーション能力を戦略や企業文化へフィードバックし、「知行合一の有機体」としての企業論が求められている。本特集では、この分野の第一人者が、現場主義の重要性とそれを戦略論・組織論までに昇華する方法について考える。
遠藤功(早稲田大学大学院商学研究科教授) 根源的組織能力としての現場力―組織能力に立脚した経営を目指して
 
  現場力とは、企業の戦略を遂行し価値創造を実現する組織能力の一部であり、組織能力全体の品質を規定する基盤的能力である。日本企業はこれまで、暗黙のうちに質の高い現場力に支えられてきた。しかし近年、その低下を感じさせる不祥事やトラブルが多発している。こうした問題を回避し、現場の無限ともいえる潜在能力を引き出して、グローバル競争に勝ち残っていくための高品質・高付加価値の商品やサービスを生み出していくにはどうすればよいのか。本稿では、経営におけるオペレーションの位置づけを再考したうえで、オペレーションに内包される現場力を組織能力という観点から考察し、根源的組織能力を形成する5つの要素能力について紹介する。
藤本隆宏(東京大学大学院経済学研究科教授) 設計立地の比較優位―開かれたものづくりの観点から
  21世紀の日本に残る産業とは何か、何が輸出され何が輸入されるのか。これには古典派経済学の比較優位論が標準的な回答を与えてくれるが、比較優位論での説明には限界があり、現代の新しい貿易理論でも不十分であった。本稿では、これらを超克する議論として、設計立地は生産立地に先行する、というものづくり現場発の観点を取り入れ、比較優位論と設計論をベースにした「開かれたものづくり」論を試みる。具体的には、設計の比較優位が発生するメカニズムを企業の開発現場における設計プロセスの内実に求め、シミュレーション・モデルを用いて、メカニズムの発現過程の再現結果を紹介する。現場発の産業競争力論として、日本のものづくりの将来を考える。
中沢孝夫(兵庫県立大学環境人間学部教授) 中小企業の現場力
  同業他社と差別化し、取引先から信頼される「強い会社」「よい会社」には、発注にあたっての優先的な順位を得られる力=現場力を持っている。現場力は生産現場に限らず、取引先との技術的な相談や自社内での研究開発、また、技術や技能の高度化に向けた多様な工夫といったことも含まれている。その担い手は「人」であり、経営の要諦は、先端技術・技能をリードする人材の育て方にかかっている。そのなかでも、中小企業は未知なる先端技術を生み出し、大企業と組むことで、日本製造業のグローバルな競争力に貢献してきた。本稿では、こうした中小企業の人材育成に焦点を当て、全国の製造現場へのフィールドワークをもとに、現場力のあり方と展望を問う。
関満博(一橋大学大学院商学研究科教授) ものづくりと中小企業の未来―辺境の地で始まった興味深い取組み
  今まで日本の製造業の心臓部といわれてきた東京や大阪の中小企業群は、深刻な後継者・技能者不足によって廃業を余儀なくされている。その一方で、首都圏から遠い「辺境」の地方小都市では地域おこしや、ものづくりの再興に向けた新しい取組みが始まっている。本稿では、人材を育成・供給できる地域こそが日本の新しいものづくり立地を担うとする「人材立地」という観点から、その人材育成の担い手としての工業高校に注目する。次の時代を担う若者にいかに「希望」と「勇気」を与えていくか、筆者の全国への現地調査をもとに、日本のものづくりの未来を考える。
鵜飼信一(早稲田大学商学学術院教授) 地域社会の小規模企業がものづくりを支える―生業資本主義の世界
  日本の中小企業の実態は千差万別だ。ベンチャーともてはやされる少数の企業の対極には生業タイプの小規模企業が数多く存在する。わが国のものづくりはこうした企業によって支えられている。そのなかにも堅実かつユニークな企業がある。日本経済の大きな節目のなかで、ナンバーワンでもなく、オンリーワンでもない小規模な企業においても試行錯誤が繰り返されている。そこには生業的ないき方で勝機を見出している企業も少なくない。本稿ではこの生業という言葉をキーワードに、地域に根差し、意欲にあふれ、自律的に生き、創造力ある経営を行っている小規模製造業の光景に焦点を当てて、そのなかからわが国のものづくりの未来を探っていきたい。
●ビジネス・ケース
楠木建/五十嵐みゆき(一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授/一橋大学大学院国際企業戦略研究科修士課程修了)
トリンプ・インターナショナル/ワコール:女性下着業界の競争戦略
  成熟段階にある日本の女性下着市場にあって、トリンプ・インターナショナル・ジャパンは、20年近くにわたって増収増益を達成していた。同社は刻々と変化していく市場に即断即決で対応し、頻繁に新製品を投入したり、自社直営店を開き、下着業界でSPAモデルをいち早く取り入れたことで、より多くの成果をあげている。これに対して、業界第1位であるワコールも従来の新たなビジネスモデルから成長と利益を回復するための戦略について思いをめぐらせている。本ケースでは、この二大企業の製造から販売までのプロセスをたどりつつ、日本の女性下着業界の競争戦略を考える。
鈴木修(一橋大学大学院商学研究科博士後期課程) IRIユビテック:技術ベンチャーのライフサイクル・マネジメント
  1977年、日本のコンピュータ産業の黎明期に設立されたタウ技研は、オフィスコンピュータの事業化を目指す技術ベンチャーであった。1986年に新日本製鐵の資本参加を受けると、独自の技術力を基盤に、さまざまな取引先企業と開発提携を展開した。この結果、映像事業、画像事業、通信モバイル事業等、事業領域が拡大し、株式上場に至る業容拡大につながった。現在は、インターネット総合研究所(IRI)の傘下で社名をIRIユビテックと改め、さらなる事業領域の拡大を目指している。2005年6月に大証ヘラクレス市場への上場を果たした同社の創業から上場に至る30年の経緯を紹介する。
●コラム連載:遺稿・21世紀への歴史的教訓(1)
 アルフレッド・D・チャンドラーJr. 「歴史が教えてくれるもの」
●連載:経営学のイノベーションム
 西口敏宏 「ネットワーク思考のすすめ(5):社会ネットワークの駆動力」
●マネジメント・フォーラム
 江頭邦雄(味の素株式会社代表取締役会長):
       
インタビュアー・米倉誠一郎
 「現場力を最大限に引き出し、世界で闘える食品企業を目指します」
●用語解説
 小幡績 「行動ファイナンス」
●投稿論文
 近能善範 「日本自動車産業における関係的技能の高度化と先端技術開発協業の深化」



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