2011年12月31日土曜日

2007年度 Vol.55-No.2

2007年度<VOL.55 NO.2> 特集:デザインと競争力  


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2007年度<VOL.55 NO.2>
特集:デザインと競争力ヒト、モノ、カネ、情報に次ぐ第5の経営資源としてのデザイン。経済が成熟化し、消費者の選好が多様化するに従って、デザインは他のイノベーション同様か、もしくは、それ以上に企業の競争力に影響を与えている。本特集では、従来正面から検討されることが少なかった、企業の競争力にデザインをどう活かすのか、という経営課題を理論家と実務家双方により多面的な検討を試みる。
パトリック・ラインメラ/米倉誠一郎(エラスムス大学ロッテルダム・スクール・オブ・マネジメント准教授/一橋大学イノベーション研究センター教授) 企業活力としてのデザイン―デザイン・イノベーションのマネジメント
 
  経済が成熟化し、消費者の選好が多様化するに従って、デザインはほかのイノベーション同様か、それ以上に企業の競争力に影響を与えてきた。近年、グローバル市場で競合他社を圧倒する企業のほとんどは、製品やサービス、そして組織やルーティンのすべてにおける広義の「デザイン」のブレイクスルーによって競争優位を維持している。しかし、多くの企業のデザインへの資源配分は十分とはいえないし、学問的にも、これまで体系的なビジネス研究がなされていなかった。本稿では、デザインを最終製品だけではない、「企業と消費者の間にある不断のコミュニケーション・プロセス」と捉え、多くの成功企業の事例を踏まえながら、いかにデザイン・イノベーションを作り出し、機能させていくかを説く。
中村史郎(日産自動車常務執行役員) 経営資源としてのデザイン―自動車産業におけるデザインマネジメント
  消費者の関心が機能的価値から情緒的価値に移行している現在、 消費者が商品を購入する際に重要視するのはデザインである。 企業の経営視点からは、デザインは商品に付加価値をつけ、 競争力を生み出すのに不可欠と捉えられている。 本稿では、日産自動車のリバイバルプランのなかで、 デザインの責任者として招聘され、現場の第一線で活躍している著者が、 自動車デザインの歴史をたどりつつ、同社での実例を挙げながら、 経営資源としてのデザインの能力を発揮させるマネジメントを説く。
吉田道生(日本サムスン デザインセンター センター長) サムスン電子のデザイン戦略
  世の中にものがあふれ、機能の平準化が進み、 ユーザーは価格や機能よりデザインの差に敏感になった。 電子機器も例外ではなく、日々コモディティ化が進み、 個々の商品の機能やデザインの魅力だけでは生き残りが難しくなっている。 差別化されたデザインアイデンティティによる トータルデザインなしには優れたブランドの確立はできない。 本稿では、デザインを最重要の経営資源と位置づけ、 実績をあげてきたサムスン電子において 1990年代以降、デザイン部門が行ってきた取組みを紹介し、 デザインによる新しいイノベーションの起こし方を考える。
小田嶋孝司(シフト代表取締役) アイデンティティ戦略としてのデザイン―NTT DoCoMoのブランド・アイデンティティ戦略
  アイデンティティ戦略としてのデザインとは、まずブランドの理念や企業の戦略を立案することに始まり、ブランドネーミングに落とし込み、ロゴデザインに反映させ、それを使って戦略目標を企業の内外に伝播し、実現していく作業全体を指す。デザインを戦略的に扱う現場ではいったい何が目論まれ、具体的にどんな方法がとられているのだろうか。本稿では、アイデンティティ戦略コンサルタントとして活躍する著者が実際に携わったプロジェクトであるNTTの民営化からNTT DoCoMo誕生までの一連の流れを紹介し、ブランド・アイデンティティ戦略の実際と思考の基点をたどってみる。
奥出直人(慶應義塾大学環境情報学部教授) デザイン思考と創造的イノベーションのマネジメント
  「何を作っていいかわからない」「コンセプトを説明できない」「作ったものを事業に結びつけることができない」という状況が蔓延し、日本企業の多くが創造的なイノベーションを実践できなくなっている。こうした閉塞状況を打開する発想法として、デザイン思考がある。デザイン思考を用いると、特殊な才能を持った個人に依存することなく、通常のマネジメントの対象としてのイノベーションを実現できる。本稿では、製品イノベーションを超えて、破壊的イノベーションを起こすこと、優れたリーダーの必要性、アーキテクチャイノベーションの構築に至る、創造的イノベーションのマネジメントの実現法を紹介する。
渡邉知子(弁理士) デザインの競争力を支える知財戦略
  日本の製造業は、商品の付加価値を高め、「製造による収益型」から「創造による収益型」へシフトしていくことが重要である。しかし、「創造による収益型」は商品開発力強化だけでは実現しない。商品の新たな価値を保護し、他社権利に阻まれることなく商品開発を行っていくには、知的財産権をうまく活用しなければならない。本稿ではプロダクトデザインを中心に、商品開発のなかのデザインの役割に焦点を当てる。知的財産権を活用して商品価値の根幹を成すデザインを保護し、企業の競争力を高めることができるのか、また、それにはどのような手法が必要なのか。弁理士である筆者が実際にかかわった実務経験を踏まえながら提案する。
●ビジネス・ケース
武石彰/古川健一/高永才/神津英明(一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了/一橋大学大学院商学研究科博士課程/元・一橋大学イノベーション研究センターCOE客員教授)
松下電子工業:携帯電話端末用GaAsパワーモジュールの開発
  わずか十数年ほど前には1%程度の普及率であった携帯電話は、利用エリアの拡大、端末の技術革新、インターネット接続サービスの開始など、さまざまな要因が貢献し、今日、多くの人々に利用されるまでに発展した。なかでも、より小さく、軽く、バッテリーも長持ちする端末の登場は携帯電話の普及を牽引する重要な原動力となったが、それはさまざまな技術革新を結集して実現したものだった。その1つが、松下電子工業が開発した小型・低消費電力のGaAsパワーモジュールであった。本稿では、同社がGaAsパワーモジュールを開発、事業化していった過程と、その後の事業展開をたどる。
平野創/軽部大(一橋大学大学院商学研究科博士課程/一橋大学イノベーション研究センター准教授) JFEスチール:大型高炉改修技術のイノベーション
  最終製品として具象化されるプロダクト・イノベーションとは異なり、生産工程におけるプロセス・イノベーションは、顧客から必ずしも見えないためか注目されることは少ない。しかし、素材型産業においてその重要性は大きな位置を占める。本稿では、川崎製鉄が主体となって開発した大型高炉改修技術「大ブロックリング工法」の事例を取り上げる。製鉄業の中心ともいうべき高炉は、一定期間操業すると長期の操業停止を伴う改修工事が必要とされる。工事による生産および経営上の損失を最小化することは重要な課題である。こうした状況に対して、プロセス・イノベーションが組織内部で始まり、成果として結実するまでの組織的プロセスを明らかにする。
●コラム連載:遺稿・21世紀への歴史的教訓(2)
 アルフレッド・D・チャンドラーJr. 「第二次産業革命と垂直統合企業」
●連載:経営学のイノベーションム
 西口敏宏 「ネットワーク思考のすすめ(6):社会システム論考」
●マネジメント・フォーラム
 深澤直人(プロダクトデザイナー):
       
インタビュアー・米倉誠一郎
 「「Without thought」のデザインで世界のものづくりをサポートします」
●用語解説
 白根英昭 「顧客経験」
●投稿論文
 中野幹久/大路延憲 「需要予測における組織のマネジメント―花王株式会社の事例」



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