2011年12月31日土曜日

2008年度 Vol56.-No.4

2008年度<VOL.56 NO.4> 特集:ビジネスとしてのスポーツ 

12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2008年度<VOL.56 NO.4>
特集:ビジネスとしてのスポーツスポーツは、もはや世界的規模で一大産業となっている。国や地域を問わず、地球上の何億、何十億もの人々がスポーツの試合の結果に、日々一喜一憂している。一方で、ビジネスとしてのスポーツの未来は、必ずしも明るいとはいえない。日本では、地上波でのプロ野球のテレビ中継がめっきり減少した。また、大相撲のあり方にも批判が高まっている。本特集では、スポーツビジネスの特徴を踏まえたうえで、サッカー、大相撲、プロ野球、高校野球を取り上げ、ビジネスとしてのスポーツのあり方を探っていく。
広瀬一郎(スポーツ総合研究所 所長) スポーツリーグ産業の構造・特質・リスク
 
  スポーツにおけるマネジメントは、ビジネスにおいてどんな機能を持つべきなのか。そして、スポーツ産業をさらに維持・発展させるための「適切なやり方」をどう考えるべきか。本稿では、本特集「ビジネスとしてのスポーツ」の総論的・概論的論稿として、Jリーグやプロ野球に代表されるスポーツリーグ産業一般を対象として考察したものである。まず、マネジメントとは何か、その誕生の背景から本来の機能を説き明かし、次に、スポーツリーグ産業の構造と、その特性、とりわけ公共性の問題の重要性について、アカデミックな視点と同時に、実務的な視点の双方から考える。そのうえで、スポーツ興行という産業が内包するさまざまなリスクについて検討し、それらへの対処がスポーツマネジメントの究極の機能であることを、具体的な事例を挙げて説明する。
武藤泰明(早稲田大学スポーツ科学学術院教授) 経営論から見た日本のプロサッカー
  日本のプロサッカー(Jリーグ)は成功したのか。その判断には、目標と評価指標の設定、そしてこれに基づく成果の測定と評価が必要である。つまり、通常は競技においてしているのと同じことを、経営論の観点から、競技組織全体に当てはめていけばよい。それが本稿の試みである。Jリーグは百年構想を掲げ、リーグ設立当初から意識されてきた目標をおおむね達成してきたが、本稿ではそのなかでも、クラブ数の増加と、地域スポーツの発展への貢献の2点に焦点を当てて分析を行う。そして、経済的な成功という観点から、欧州型ビジネスモデルと比較検討し、プロサッカー発展のための日本独自のビジネスモデルのあり方と、スポーツマネジメントの将来像について提言を行う。
中島隆信(慶應義塾大学商学部客員教授) 大相撲の経済・経営学
  不祥事続きの角界が揺れている。その背景には、スポーツというカテゴリーに属しながら競技性と文化性をあわせ持つ大相撲独特の性格がある。大相撲批判の嵐が吹き荒れるなか、角界の風習にまつわる不透明性を指摘し、抜本的な組織改革を求める声もある。本稿では、伝統文化として位置づけられる大相撲の特徴を経済学の視点から明らかにし、望ましい組織形態のあり方、近年の不祥事の発生メカニズムについて述べたうえで、大相撲をビジネスとして見たときに今後めざすべき道についての提言をしたい。
小林 至(江戸川大学社会学部教授) 産業としての日本のプロ野球とマネジメント
  グローバライゼーションがスポーツビジネスに多額の資金を流し込んで、活況を呈するなか、地域スポーツに留まっている競技団体および競技団は相対的な地位の低下に悩まされている。日本のプロ野球(NPB)がまさにそうである。メジャーリーグに人気を奪われ、ここ10年の年商総額は、頭打ち状態である。本稿では、そうした産業としての日本のプロ野球が直面する問題を明らかにする。取り上げる論点は、スター選手とファンとスポンサーの流出(産業空洞化)、地域との密着、テレビ中継のあり方、球団経営上の工夫、球団と地元自治体との関係、国際市場の開拓など、多岐にわたる。そのうえで、筆者が経営に参画している福岡ソフトバンクホークスによる改革やメジャーリーグの取組みなど、具体例をふんだんに盛り込みながら、NPBの将来の活路を探っていく。
橘川武郎(一橋大学大学院商学研究科教授) プロ野球の危機と阪神タイガース:一ファンの懸念
  スポーツをビジネスとして捉える際には、サプライサイドからだけでなく、ディマンドサイドからの検討も必要である。ディマンドサイドからの検討とは、つまり、顧客の視点に立って問題に接近することであるが、スポーツビジネスにおける顧客の代表的な存在は、プロスポーツの各チームのファンである。本稿では、筆者自らもその一員である、日本のプロ野球チーム・阪神タイガースのファンの動向に注目する。タイガースは、プロ野球の各球団が観客動員数を実数発表するようになった2005年以降、一貫して12球団トップの観客動員数を誇っている。タイガースファンは、何を求めて球場に出かけるのか。本稿では、歴史分析の手法を取り入れつつ、タイガースファンの深層心理に迫る。その作業を通じて明らかになるのは、日本のプロ野球が直面するきわめて深刻な問題である。
脇村春夫(日本高等学校野球連盟前会長) 高校野球と教育:過去・現在・未来
  少子化による高校生徒数の減少にもかかわらず、日本高校野球連盟(高野連)への硬式野球部加盟校数、野球部員数ともに11年連続で対前年比増が続いている。甲子園球場での高校野球の全国大会は、今でも多くの国民を魅了し続けている。本稿では、日本のアマチュアスポーツの代表ともいうべき高校野球について、高野連の第5代会長を務めた著者が、過去・現在・未来を鳥瞰する。戦前の中等学校野球以来の90余年にわたる歴史を振り返ることで明らかになるのは、高校野球が今日まで、「教育の一環」としての精神主義を貫いてきた事実である。それを踏まえて、本稿では、高校野球が今後変えるべき点、変えるべきでない点とを指摘し、21世紀の高校野球と教育のあり方を論じる。
●特別寄稿
野中郁次郎/徳岡晃一郎(一橋大学名誉教授/フライシュマン・ヒラード・ジャパン シニア・バイスプレジデント)
戦略は人事に従う:地創人事論
  1990年代後半からの失われた10年に、日本企業は効率重視の組織や透明でフレキシブルな人事制度を構築し、筋肉質な体質を築いていった。その反面で、経営の裏側にあって日本企業の競争力を支え、知識創造の文化を創ってきた「人事の知」を顧みることは少なかった。かつてはこれらをベースに、人事は社員や現場と密接につながっており、そこには人のケア、そして実践から学ぼうとする強固な信念があった。景気後退のなかで、それらが完全に消失しつつあるなか、今こそ日本企業は次代での飛躍のために、過去十数年の反省を踏まえて、知識経営の時代を見据えた新たな人事パラダイムを模索していかなければならない。本稿では、現在の人事制度を作ってきた経営戦略論を批判的に検討しながら、知創発プロセスの仕掛け人としての「人事の知」の復興と、企業戦略の担い手としての人事のあるべき姿を説く。
●ビジネス・ケース
延岡健太郎/岩崎孝明(一橋大学イノベーション研究センター教授/株式会社ウィンズ 代表取締役社長)
キーエンス:価値創造による社会貢献をめざした経営哲学
  キーエンスは、2007年度も含めて過去20年間以上にわたり、売上高営業利益率が平均40%を超える業績をあげている。日本の製造企業としては最高レベルである。さらには、2007年度は営業利益が1000億円を超え、日本を代表する製造企業の1つになった。驚異的な業績を継続しているキーエンスだが、必ずしもその実態が知られているわけではない。本ケースでは、特に、キーエンスの経営哲学である「付加価値の最大化」を徹底する経営に焦点をあわせる。これこそが、持続的な高収益のバックボーンとなっている。具体的には、この経営哲学が、創業以来いかに醸成されてきたのか、商品にどのように反映されてきたのかについて説明する。
●ビジネス・ケース
田路則子・五十嵐伸吾(法政大学経営学部・ビジネススクール教授/九州大学ベンチャービジネスラボラトリー准教授)
レイテックス:ハイテク・スタートアップの成長プロセス
  日本の起業環境は、資金面でも人材供給面でも恵まれているとはいえない。しかもハイテク関連の起業となると、研究開発に多大な資金と有能な技術者を必要とする。そのような厳しい環境のなかで成長を遂げた、半導体ウェーハ検査装置メーカーのレイテックスの歩みをたどりながら、ハイテク・スタートアップの成長プロセスを検証していく。ベンチャー・キャピタルの投資や大手企業の資本参加を受けずに2004年に東証マザーズで株式公開を果たした背景には、内部留保による資金調達、外部の人材を活用した製品開発、迅速な事業化、競合の追随を許さない製品のフルライン化があった。また、成長のドライバーとなった事業機会の発見に長い時間を要したことは、米国におけるハイテク・スタートアップの成長プロセスとは異なるモデルを提示しているといえよう。
●技術経営のリーダーたち(2)
 山田敬嗣(NEC C&Cイノベーション研究所 所長)
 「社会変革を誘導するオープンイノベーションの仕掛け人」
●コラム連載:遺稿・21世紀への歴史的教訓(8)
 アルフレッド・D・チャンドラーJr. 「ビデオカセットレコーダーの標準をめぐる競争」
●連載:経営学のイノベーション
 楠木建 「始まりはコンセプト」
●マネジメント・フォーラム
 犬飼基昭(財団法人日本サッカー協会 会長):
       
インタビュアー・米倉誠一郎/橘川武郎
 「サッカーを通じた地域一体型のビジネスと子どもたちへの教育を通じて日本のスポーツの地位向上に努めます」
●用語解説
 治部れんげ 「ワーク・ライフ・バランス」
●ポーター賞
 大薗恵美 「第8回 ポーター賞受賞企業に学ぶ」
●投稿論文
 橋本正洋・坂田一郎・梶川裕矢・武田善行・松島克守 「ネットワーク分析によるイノベーションの学術俯瞰とイノベーション政策」



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