2011年12月31日土曜日

2009年度 Vol.57-No.1

2009年度<VOL.56 NO.4> 特集:ソーシャル・イノベーション  


12・3・6・9月(年4回)刊
編集 一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社

2009年度<VOL.56 NO.4>
特集:ソーシャル・イノベーションソーシャル・イノベーションとは、世の中に散在する社会的課題を認識し、その解決を目的としたビジネス(ソーシャル・ビジネス)の創出を通じて社会変革に資するイノベーション活動である。「ソーシャル・イノベーション」や「社会事業家」という言葉は広く流布しているが、われわれはそれらを包括的に理解しているとはいいがたい。そこで本特集では、日本のみならず、世界を舞台に社会事業を行う実践家、それを支援する実務家や研究者からの論考を募り、ソーシャル・イノベーションを理解するフレームワーク、現実の問題、その解決の方策などを探っていく。
ムハマド・ユヌス(グラミン銀行 総裁) グラミン銀行の軌跡と奇跡:新しい資本主義の形
 
  バングラデシュの貧困層を対象に、無担保・低金利の少額融資を行う、グラミン銀行。同銀行と、その創設者で総裁のムハマド・ユヌス氏は、「底辺からの社会・経済発展の創造に対する努力」の功績が認められて、2006年のノーベル平和賞を受賞した。本稿では、グラミン銀行の歴史的な軌跡と奇跡を振り返り、さらに、同銀行を中心として展開されているソーシャル・ビジネスを紹介する。それは単なる歴史的回顧ではない。そこには、先駆者としての地に足のついた経験に基づいた、ソーシャル・ビジネスを通じた新しい資本主義の提案がある。
渡辺 孝(芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授) ソーシャル・イノベーションとは何か
  21世紀に入り、現実社会の諸問題に対するソーシャル・イノベーションの担い手である社会起業家と、その事業体である社会的企業による活動が盛んになっている。同時に、欧米ではその潮流に関するアカデミックな議論が活発になっている。超少子高齢化、グローバル経済化する日本社会においても、社会起業家・社会的企業が果たす役割が注目され始めている。本稿は、科学技術イノベーションの担い手であるハイテクベンチャーの創業支援を手がけ、また、内閣府の社会イノベーション研究会の成果を取りまとめた筆者が、欧米の実践事例と既存研究の系譜を広範に整理してまとめたものである。
谷本寛治(一橋大学大学院商学研究科教授) ソーシャル・ビジネスとソーシャル・イノベーション
  社会的課題の解決をめざすこと(社会性)と、それをビジネスとして成り立たせること(事業性)は容易に結びつくわけではない。それらを結びつけてユニークな活動を展開している社会的企業は、何らかのイノベーションを生み出している。本稿ではまず、社会的企業が台頭した歴史的背景を検討し、社会的企業の多様な形態を体系的に整理し、また、市民の出資によって風力発電事業に取り組む北海道グリーンファンドの事例を通じて、ソーシャル・ビジネスは、個人としての社会的企業家だけに支えられているのではなく、解決すべき社会問題を共有する多様なステイクホルダーによって支えられていることを明らかにする。
島田昌和(文京学院大学経営学部教授) 明治の企業家・渋沢栄一に見る社会認識と事業創出
  近代日本の資本主義の父として有名な渋沢栄一には、2つの顔がある。1つは、500社ともいわれるさまざまな業種の事業会社に関与した企業家としての顔であり、もう1つは、600もの社会・公共事業にかかわったという社会企業家としての顔である。渋沢は、ビジネスパーソンとして数多くの会社を立ち上げて運営しながら、「論語と算盤」「道徳経済合一説」を提起し、同時に社会事業や教育等への積極支援を惜しまなかった点で、社会企業家との多くの共通要素を保持していたといえるだろう。本稿は、時代の変革に積極的にかかわって生きた渋沢栄一という人物の「発想法」と「手法」に注目して、彼が社会に対して何を思い、どのように行動したのかを吟味し、現代に対する示唆を検討する。
林 大樹/辻 朋子(一橋大学大学院社会学研究科教授/経営コンサルタント) 学生のまちづくり活動によるソーシャル・イノベーション
後藤健市(有限責任事業組合場所文化機構 代表) 地域の自立に向けた中間支援のあり方
川北秀人(IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)代表) 真の社会事業家を日本で本気で育てるために
●ビジネス・ケース
青島矢一/鈴木 修/長内 厚(一橋大学イノベーション研究センター准教授/関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科准教授/神戸大学経済経営研究所准教授)
ビットワレット:電子マネー市場の創造と事業戦略の構築
  かつて、日本における電子マネー事業は失敗の連続であった。その状況を打開し、電子マネー普及に大きな役割を果たしてきたのが、ビットワレットのEdyである。ビットワレットは、多数の協力企業を開拓し、他社に先駆けて電子マネーの社会インフラを確立した。Edyの成功で、電子マネーは多数の競合企業が参入する成長領域となり、消費者の認知も高まった。しかし一方で、ビットワレットは広範な社会インフラの確立と事業の収益化とを両立するには至っていない。本ケースでは、日本市場での電子マネーの普及過程を概観した上で、ビットワレットが直面している課題や、その克服策を考えたい。
●ビジネス・ケース
安藤史江/浦田健吾(南山大学大学院ビジネス研究科准教授/南山大学大学院ビジネス研究科(MBA)修了)
大修館書店:『ジーニアス英和辞典』の成功と書籍電子化のうねりのなかで
  1988年に刊行された大修館書店の『ジーニアス英和辞典』は、20年ものロングセラーを誇ると同時に、学習用英和辞典のセグメントで圧倒的なトップの地位を守り続けているといわれる。本ケースでは、辞典市場特有の難しさが存在するなか、並み居る競合他社を抑えて、ヒット商品を送り出すことに成功した大修館書店の戦略・組織行動を探るとともに、近年、出版業界に大きな変革をもたらしている書籍電子化の波が、『ジーニアス英和辞典』に及ぼす影響・課題についても考察する。
●技術経営のリーダーたち(3)
 貴島孝雄(マツダ株式会社 プログラム開発推進本部 主査代行)
 「本物にこだわりつつ世界一売れるスポーツカーを創ってきた先導者」
●コラム連載:遺稿・21世紀への歴史的教訓(9)
 アルフレッド・D・チャンドラーJr. 「情報技術産業における日欧企業の明暗」
●連載:経営学のイノベーション(5)
 楠木建 「戦略ストーリーの「キラーパス」」
●マネジメント・フォーラム
 ジョン・ウッド(ルーム・トゥ・リード 会長):
       
インタビュアー・米倉誠一郎
 「貧困にあえいでいる途上国の子どもたちに、教育という贈り物を届けて未来への希望を提供します」
●用語解説
 川田英樹 「社会起業家」
●投稿論文
 記虎優子/奥田真也 「企業の社会的責任(CSR)に対する基本方針とコーポレート・ガバナンスの関係:テキストマイニングを利用して」



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