2013年9月5日木曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2013年度 Vol.61-No.2

2013年度<VOL.61 NO.2> 特集:地域から未来を創造するマネジメント









12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社



特集:少子高齢化のさらなる進行、総人口の減少、経済のグローバル化のより広範な領域への浸透、多文化共生などの課題に直面するわが国では、どのような経済社会をつくって人々の幸福を求めていくかという未来社会を創造するイノベーション・マネジメントが求められている。本特集では、地域やNPOあるいは大学の取り組みのなかに見られる未来創造マネジメントの萌芽に着目する。「学生によるまちづくり」「人材育成につながるNPO活動」「市民組織で運営される音楽祭」などの事例を挙げ、それらを支える組織やマネジメント、必要とされる人材の育成やリーダーシップに関する議論の展開を通じて、地域から未来を創造するマネジメントの思想と実践を紹介する。

特集論文Ⅰ 地域創造マネジメントと大学教育
林 大樹 
(一橋大学大学院社会学研究科教授)
「地域創造マネジメント」とは、地域にイノベーションを起こし、人々が幸福を追求する社会経済をつくるためのマネジメントである。地域におけるマネジメントは、企業におけるそれと比べてどんな特徴があるのだろうか。また、それを担う人材はどのように育てるべきなのだろうか。本稿では、先行研究における都市計画の理論の展開にヒントを得て、地域のマネジメントについて考察し、そこで必要とされる人材を育成する機会として、産学連携による大学生のインターンシップや、OECDの「学習地域」の発想にもつながる大学と地域の連携によるまちづくり活動といった「現場生成型」教育に着目して議論する。

特集論文Ⅱ 人ダイバーシティ的多様性を活用して地域の未来を創造する
結城 恵 
(群馬大学教育基盤センター教授)
ダイバーシティ(人的多様性)は、企業のマネジメントにおいてもキーワードとなりつつあるが、未来を築く地域のマネジメントを考えた場合、すでにダイバーシティに対する配慮やその活用がより重要な課題となっているケースが見受けられる。本稿では、南米日系人をはじめとする外国人住民総数が全人口に占める割合の高さで有数の県であり多文化化する群馬県における、ダイバーシティに配慮した「新たな価値」創出の事例を取り上げ、今後ますます人的な多様化が進むと考えられる未来社会に向けたイノベーション・マネジメントの糸口を考える。

特集論文Ⅲ 人材をめぐる混迷――産業界と大学のギャップはなぜ生じるのか
田中 弥生 / 浅野 茂
(大学評価・学位授与機構教授・日本NPO学会会長 /  神戸大学企画評価室准教授)
大学生に求められる能力とは何か。それは大学教育だけで獲得できるものなのだろうか。本稿では、スキル(Skill)よりももっと広い意味を有するコンピテンス(Competence)を用いて、学生に獲得が期待されるコンピテンスを考える。産業界が求める人材と大学が育成しようとする人材とに期待されるコンピテンスには差がないように見える。では、なぜ人材をめぐるギャップは生じているのだろうか。大学だけに押しつけている人材育成の限界を考え、また地域社会にかかわる国内外NPOの事例を通じて、どうすれば学生が期待されるコンピテンスを獲得してギャップを埋められるのか、求められる人材育成の機会について考える。

特集論文Ⅳ 経済社会を創造する「まちづくりの論理」
石川  公彦
(明治大学経営学部助教)
今日、広く耳目に触れる「まちづくり」という地域活動には、経済社会を改善するためのロジックが内包されている。本稿では、それを「まちづくりの論理」として分析し、経済社会全般の改善の方向、および、創造のあり方について考察する。また、「まちづくりの論理」は、第一義的に「ヒト」に立脚して機能していることから、ヒトのマネジメントを中心とした検討を加える。特に、人的資源管理の領域で大きな柱となっている「人材育成」と「リーダーシップ」を検討課題として取り上げ、論じる。

特集論文Ⅴ 地域文化創造を支える市民組織のマネジメント――2つの市民音楽祭の事例から
福嶋 路
(東北大学大学院経済学研究科教授)
地域文化の創造と継承は、近年、行政から市民組織によって担われるようになってきている。しかし、市民組織の性質から、その継続性は安定しない傾向がある。本稿では、タイプは異なるが20年以上継続している2つの市民音楽祭、宮城県仙台市で開催される「定禅寺ストリートジャズフェスティバル in 仙台」と、富山県南砺市の「SUKIYAKI MEETS THE WORLD」の実行委員会に注目し、なぜそれらは長期継続をなしえているのか考察した。地域文化の創造を支える市民による組織は、内発的に動機づけられた活動であり、その継続のカギは外部からの支援を引き出す理念やコンセプト、絶えざる変化の導入、また地域資源の発掘にあると思われる。

[経営を読み解くキーワード]
退職給付会計基準のコンバージェンス
澤田成章 (鹿児島大学法文学部経済情報学科准教授)

[技術経営のリーダーたち]
「職人的なものづくりからスポーツ工学によるものづくりへの道程で得たもの(第18回)
西脇 剛史 (株式会社アシックス スポーツ工学研究所所長/フェロー)

[ビジネス・ケース]
ブラザー工業――グローバル経営の進化と人事部門の役割 本社による支援を通じた海外拠点の自律化
中野浩一 / 江夏幾多郎 / 初見康行 / 守島基博
 (一橋大学大学院商学研究科博士後期課程 / 名古屋大学大学院経済学研究科准教授 / 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程 / 一橋大学大学院商学研究科教授)
ミシンメーカーのイメージが強かったブラザー工業は、1980年代の経営危機を乗り越え、情報通信機器を主軸に、グローバルに事業を展開する。2000年代に入って業績は急回復したものの、激化する競争に備え、従来の延長ではない「真の」グローバル化をめざした経営方針へ転換を図り、海外拠点により大きな期待を求める。本ケースでは、同社の華南工場(中国)を例に挙げ、新しい経営方針の実践とそれを支援する本社、特に本社人事部門の取り組みについて探る。

[ビジネス・ケース]
住友電気工業――研究開発と事業化戦略の転換 青紫色半導体レーザー用窒化ガリウム基板の開発を事例として
丸山康明 / 清水 洋
(一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了 / 一橋大学イノベーション研究センター准教授)
CDやDVDに代表される光ディスクのプレーヤーやレコーダー、それらのキーデバイスは半導体レーザーである。大容量化をめざす次世代DVDには、高密度で書き込みや読み取りを可能にする青紫色(青色)半導体レーザーが用いられる。住友電気工業は、その製造には不可欠な「大口径で低欠陥密度の窒化ガリウム(GaN)基板」を世界で初めて開発し量産化に成功した。半導体レーザーの研究開発では後発だった同社が、どのようにしてシェア90%以上という高い競争力を有する地位を築いたのだろうか。本ケースでは、その開発および事業戦略について考える。

[コラム]日本経営学のイノベーション 第3回
日米企業の経営比較への道
小川進 (神戸大学大学院経営学研究科教授)

[私のこの一冊]
「建設的な創造」を生み出す戦略的直観思考――ウィリアム・ダガン『戦略は直観に従う』
 各務 洋子(駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部教授)

真理を探求するロマン――吉井讓『論争する宇宙』
 入山 章栄 (早稲田大学ビジネススクール准教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
ユーザーインの思想で消費者に快適さを提供するメーカーベンダーをめざす
大山健太郎 (アイリスオーヤマ株式会社 代表取締役社長 )

[投稿論文]プライベートブランドのサプライチェーン・マネジメントセブンプレミアムの事例考察から
秋川卓也 / 戸田裕美子
 (日本大学商学部専任講師 / 日本大学商学部専任講師)
販路の限定化に伴って高い在庫リスクを抱えるプライベートブランド(PB)の商品特性を踏まえて、セブンプレミアムの事例考察からPBが対象となるサプライチェーン・マネジメント(SCM)に着目する。既存のPB研究は供給面と需要面を分けた個別的な視座で展開されており、両者を統合するSCMにあまり関心を寄せてこなかった。そこで本稿は、日本のPBサプライチェーンの特徴を整理した上で、「廃棄ロスはゼロ」というセブン-イレブン・ジャパンのPBであるセブンプレミアムの考察を、販売消化能力とSCM能力の視座から行う。さらに、販路のグループ化、サプライチェーンの関係と権限、付加価値型PBの条件などについても言及する。


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