イノベーションフォーラムのお知らせ 2014年4月23日
テーマ:
「中国おける企業の研究開発活動及びその決定要因の実証分析」
講演者 :
劉 曙麗(イノベーション研究センター特任講師)
日時:
2014年4月23日(水) 12:15~13:45
開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室
幹事: イノベーション研究センター 清水洋
2014年3月26日水曜日
2014年3月22日土曜日
アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー2014 NPOの次世代リーダー育成プログラム
2014年3月20日(木)-22日(土)、ホテルマイステイズ御茶ノ水コンファレンスセンターおよびソラシティ カンファレンスセンターにて公益社団法人日本フィランソロピー協会主催, アメリカン・エキスプレス財団共催「アメリカン・エキスプレス・リーダーシップ・アカデミー2014 NPOの次世代リーダー育成プログラム」が開催されました。本プログラムは社会が抱える様々な課題に取り組む国内NPO・NGO の組織基盤強化を目的として企画された、若手職員のための宿泊型リーダーシップ研修です。2009年から毎年実施されており、これまでに114名の受講生が参加しています。
米倉誠一郎一橋大学イノベーション研究センター教授がプログラムを総合監修し、基礎講座I 「創発的破壊が日本を創る」および基礎講座II「率先垂範のリーダーシップ論」を担当しました。
ディスカッションを行うプログラム参加者
日本全国のNPO/NGO から選出された30名の参加者からは、プログラムに対して 「イノベーションという言葉が最初はわからなかったけど、自分の中で落としこむことができた」、「モチベーションがわくわくしないと、イノベーションは生まれないと思った」、「仕事だけではなく、人生に活きるものだと思った」などの感想がありました。
本プログラムについては、半年後の9月19日または26 日にフォローアップセッションが行われる予定です。
プログラム修了後の記念写真
(文責・原)
2014年3月17日月曜日
国際ワークショップ「イノベーションの科学的源泉を探る:今後のイノベーション政策への含意」を開催しました
国際ワークショップ「イノベーションの科学的源泉を探る:今後のイノベーション政策への含意」を、3月17日文部科学省16階 科学技術・学術政策研究所会議室にて開催しました。
プログラムの詳細については国際ワークショップ「イノベーションの科学的源泉を探る」 2014.03.17 (別記事) を御覧ください。
イノベーション研究センターからは、以下の発表が行われました。
1.“Sources and impacts of the research at Pasture quadrant”
伊神 正貫 (科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術基盤調査研究室 主任研究官, 一橋大学イノベーション研究センター客員研究員)
2. “Making university and industry collaboration: sources of seeds, needs and their matching”
長岡 貞男 (一橋大学イノベーション研究センター 教授 / 独立行政法人経済産業研究所 ファカルティフェローおよびプログラムディレクター / 文部科学省科学技術・学術政策研究所 客員研究官)
3. “Funding and commercialization mechanism of joint research ”
赤池 伸一 (一橋大学イノベーション研究センター 教授 / 文部科学省科学技術・学術政策研究所 客員研究官)
細野 光章 (科学技術・学術政策研究所 第3調査研究グループ 上席研究官)
基調講演 “Capitalizing on science for innovation: policy issues and research agenda”[講演者: アダム・ジャッフィー(Motu Economic and Public Policy Research 所長/ ブランダイス大学 教授 / NBER研究員)]
“Science sources of corporate inventions in Japan: Evidence from inventor survey”
山内 勇(経済産業研究所 研究員)
“Science intensity of drugs launched in Japan and their performance”
“Sources and impacts of the research at Pasture quadrant”
伊神 正貫 (科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術基盤調査研究室 主任研究官)
“Making university and industry collaboration: sources of seeds, needs and their matching”
長岡 貞男 (一橋大学イノベーション研究センター 教授 / 独立行政法人経済産業研究所 ファカルティフェローおよびプログラムディレクター / 文部科学省科学技術・学術政策研究所 客員研究官)
赤池 伸一 (一橋大学イノベーション研究センター 教授 / 文部科学省科学技術・学術政策研究所 客員研究官)
細野 光章 (科学技術・学術政策研究所 第3調査研究グループ 上席研究官)
集合写真
(文責: 原)
2014年3月6日木曜日
【一橋ビジネスレビュー】 2013年度 Vol.61-No.4
2013年度<VOL.61 NO.4> 特集:顧客志向を問い直す
12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社
特集:企業のマーケティングではこれまで、「顧客志向」は重要なキーワードとして取り扱われてきた。しかし、顧客志向といっても、ただ顧客に迎合することはかえって逆効果を生む場合が多いといわれている。また、顧客ニーズを求める手法も、ある時点における顧客ニーズを静的に分析しているだけでは、事業変革を生み出すことは難しいといわざるをえない。マーケティングを企業の真のドライビング・フォースとしようとすれば、さまざまな要因と相互依存しながら常に変化する顧客に対して、新たな価値を提案することが求められる。本特集では、「顧客志向とは何か」、その本質を問い直すことに主眼を置き、顧客志向のあるべき姿と、企業経営のなかに潜む「顧客志向の弊害」を明らかにする。そして、それを乗り越えるためのマネジメントとは何かといった議論などを通じて、顧客が求める新たな価値の提案の実現について考える。
特集論文Ⅰ 顧客価値を高める3つの戦略
加護野忠男
(甲南大学特別客員教授)
日本企業はかつて、価格に対する性能比を高めるというコスト・パフォーマンス・パラダイムに基づく戦略によってグローバル市場で優位な地位を築いてきた。しかしながら、現状はその戦略をまねる後発の国々に追随され、従来の戦略の根幹にあるパラダイムでは市場での地位の維持は難しく、新しい戦略パラダイムに転換する必要に迫られている。本稿では、今後日本企業が転換すべき、顧客価値を高めることで製品を高く売るという「顧客価値パラダイム」とそれを実践するための3つの戦略について議論を展開する。
特集論文Ⅱ 生産財における真の顧客志向―意味的価値創出のマネジメント
延岡健太郎 / 高杉康成
(一橋大学イノベーション研究センター長・教授 / コンセプト・シナジー株式会社 代表取締役)
生産財における真の顧客志向とは、顧客企業だけでは創出できない高度な経済的価値(機能的価値+意味的価値)を提供することである。生産財企業がこれを実現するためには、多様な顧客企業の現場に深く入り込んで、顧客価値が提案できる能力を蓄積しなくてはならないが、多くの企業では、それができていない。本稿では、提供すべき顧客企業にとっての経済価値とは何かについて整理した上で、計測制御機器メーカーであるキーエンスの事例を通じて、生産財企業が、顧客企業や産業動向に関する知識をいかにして蓄積し、顧客価値提案能力をどのようにして高めていくのかについて議論する。
特集論文Ⅲ 消費者行動の変化をどう読み解くか―分析の視点と新たな研究の方向性
青木幸弘
(神戸大学大学院経営学研究科教授)
人口動態や価値観、雇用環境や景気動向、そして新技術や政府の規制・税制など、さまざまなマクロ的環境要因が変化するなか、消費者の行動も変わっていく。本稿では、これら消費者を取り巻くマクロ的環境要因の変化が、生活構造や生活意識の変化を経由し、消費行動や購買行動に影響を及ぼすメカニズムについて検討する。特に、消費者行動における変化の諸相のなかでも、消費主体の変化や消費プロセスの変容を通してもたらされる消費の多様化の問題に焦点をあわせる。また、インターネットの登場で情報メディア環境が大きく変わるなか、新たに求められる消費者行動の分析視点についても検討していく。
特集論文Ⅳ 実践としての顧客志向のジレンマ
栗木 契
(神戸大学大学院経営学研究科教授 )
多くの企業人が「顧客志向」の大切さを口にする。しかし、これを理念ではなく実践に移そうとする企業は、多様化する顧客の嗜好や行動に翻弄され、さまざまなジレンマに直面する。本稿では、顧客志向を実践する際に企業が陥るジレンマや落とし穴を整理した上で、「顧客志向のジレンマ」というマーケティングの問題に挑むには、「ロジカルな設計」と「クリエーティブな直感」の2つの対処原理があることを指摘する。また、組織が大規模化するとともに重用される理詰めで分析的な経営が、大規模企業の顧客志向を成長性と収益性をめぐるジレンマに追い込んでいる可能性についても指摘する。
特集論文Ⅴ スマート・エクセレンス―焦点化と共創を通した顧客戦略
小野譲司
(青山学院大学経営学部マーケティング学科教授)
きめ細かなおもてなしに象徴される日本のサービスには、スマート・エクセレンスと呼べるような、従来とは異なったエクセレンス(卓越さ)のプレゼンスが、各産業においても、消費者の生活のなかにおいても高まっている。スマート・エクセレンスとは、高品質と低コストを両立したコストパフォーマンスの高さだけでなく、特定の機能に絞り込んだ高品質なサービスを提供することで、顧客の高い満足を獲得しているサービスである。本稿では、日本のサービス産業34分野にわたる約400のブランドの顧客満足度の推移を見ながら、顧客にとってのエクセレンスの変化が生じている背景にあるメカニズムを、焦点化、企業と顧客の価値共創、そして顧客ミックスという切り口から考える。
特集論文Ⅵ 市場育成を通じた価値創造のマネジメント―株式会社生活の木の事例を中心に
吉田満梨
(立命館大学経営学部准教授)
顧客ニーズが不明瞭な環境下で、自社の優位性を活かした価値創造を実現するためには、単なる製品開発や、顧客適応だけではなく、製造企業が主導して市場を育成し、創造された市場に対して適応する、「創造的適応」としてのマーケティングが重要になる。本稿は、ユーザーやパートナー企業と共に、多様な使用価値の創出と継続的な製品開発を行う、市場育成(価値共創)のアプローチの有効を主張するものである。そのために、ユーザーの声を取り入れた市場育成を通じて、日本に新たなハーブ・アロマ市場を創造し、継続的な市場拡大と企業成長を実現している、生活の木の事例を検討することで、市場育成による価値創造の有効性と、具体的なマネジメントプロセスについて明らかにする。
[経営を読み解くキーワード]
企業再生
芦澤美智子 (横浜市立大学国際総合学部経営学コース准教授)
[技術経営のリーダーたち]
クルマをデザインするのではなく、マツダブランドをデザインする
前田育男 (マツダ株式会社 執行役員 デザイン本部長)
[ビジネス・ケース]
シスメックス―真の顧客志向と顧客価値最大化によるグローバルリーダーへの飛躍
延岡健太郎 / 栗木 契 / 藤井 誠
(一橋大学イノベーション研究センター長・教授 / 神戸大学大学院経営学研究科教授 / 神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程)
検体検査の領域で事業展開している医療機器メーカーのシスメックスは、1990年代の事業転換期を経て、神戸に拠点を構える「良好な企業」から、ヘマトロジー分野の事業を中心にグローバルに展開する「偉大な企業」への飛躍を遂げた。そのことは、2013年3月期までの過去18年間に4倍超に拡大した同社の連結売上高の数字に表れている。本ケースでは、シスメックスによる、事業のターゲット市場の選択、商品開発やサービス提供における競合企業との差別化戦略、グローバル展開を通じ、同社が他社に対して競争優位を確立している要因と、その根幹にある経営ビジョンや顧客価値づくりについて検討する。
[ビジネス・ケース]
日本コカ・コーラ―新型自動販売機「ピークシフト自販機」の開発と事業展開
米倉誠一郎 / 金 成美
(一橋大学イノベーション研究センター教授 / 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程1年)
日本国内には自動販売機が約250万台設置されており、そのなかの4割弱にあたる約98万台はコカ・コーラシステム1)が直接管理するものである。飲料自動販売機は1962年、国産初の瓶入り自動販売機が導入されてから1997年まで右肩上がりで日本全国に設置された。しかし、エネルギー節約や環境問題などへの関心の高まりに伴って合計設置台数は横ばいになり、自動販売機業界は省エネ型自動販売機の開発に迫られた。それに加え、日本では2011年3月11日の東日本大震災を契機にエネルギー節約への要求がさらに高まり、自動販売機不要論が広まった。ひいては自動販売機廃止論まで台頭するようになった。自動販売機ビジネスの存続の危機に直面したコカ・コーラシステムは、この危機を乗り越えるために2011年5月から富士電機と共同で「ピークシフト自販機」を開発し、その設置を始めた。「ピークシフト自販機」は、自動販売機による節電を「減らす」から「ずらす」への発想の転換により開発されたものであり、電力消費が最も多い日中の16時間、冷却機能を停止させる画期的な試みである。本ケースでは、「ピークシフト自販機」の開発とその事業化までを検討し、日本コカ・コーラがこのようなイノベーションを引き起こすことができた理由は何かを明らかにすることで、イノベーションのドライビング・フォースについて考察する。
[コラム]経営は理論よりも奇なり 第1回(新連載)
「バカな」と「なるほど」
吉原英樹 (神戸大学名誉教授)
[私のこの一冊]
■ダイバシティが組織にもたらす可能性に気づかせてくれた書―『システムの科学(第3版)』
谷口真美 (早稲田大学大学院商学研究科教授)
■夢を追い求めるための現実主義―『日本人へ リーダー篇』
清水勝彦 (慶應義塾大学ビジネス・スクール教授)
[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
コミュニケーションは「水」のようなもの。安くておいしくて安全が一番
森川 亮 (LINE株式会社 代表取締役社長 )
[第13回 ポーター賞受賞企業に学ぶ]
大薗恵美/山﨑聖子
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授/ 一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任研究員)
ご購入はこちらから
東洋経済新報社 URL:http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/hitotsubashi/
〒103-8345 中央区日本橋本石町1-2-1 TEL.03-3246-5467
47巻までの「ビジネスレビュー」についての問い合わせ・ご注文は
千倉書房 〒104-0031 中央区京橋2-4-12
TEL 03-3273-3931 FAX 03-3273-7668
12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社
特集:企業のマーケティングではこれまで、「顧客志向」は重要なキーワードとして取り扱われてきた。しかし、顧客志向といっても、ただ顧客に迎合することはかえって逆効果を生む場合が多いといわれている。また、顧客ニーズを求める手法も、ある時点における顧客ニーズを静的に分析しているだけでは、事業変革を生み出すことは難しいといわざるをえない。マーケティングを企業の真のドライビング・フォースとしようとすれば、さまざまな要因と相互依存しながら常に変化する顧客に対して、新たな価値を提案することが求められる。本特集では、「顧客志向とは何か」、その本質を問い直すことに主眼を置き、顧客志向のあるべき姿と、企業経営のなかに潜む「顧客志向の弊害」を明らかにする。そして、それを乗り越えるためのマネジメントとは何かといった議論などを通じて、顧客が求める新たな価値の提案の実現について考える。
特集論文Ⅰ 顧客価値を高める3つの戦略
加護野忠男
(甲南大学特別客員教授)
日本企業はかつて、価格に対する性能比を高めるというコスト・パフォーマンス・パラダイムに基づく戦略によってグローバル市場で優位な地位を築いてきた。しかしながら、現状はその戦略をまねる後発の国々に追随され、従来の戦略の根幹にあるパラダイムでは市場での地位の維持は難しく、新しい戦略パラダイムに転換する必要に迫られている。本稿では、今後日本企業が転換すべき、顧客価値を高めることで製品を高く売るという「顧客価値パラダイム」とそれを実践するための3つの戦略について議論を展開する。
特集論文Ⅱ 生産財における真の顧客志向―意味的価値創出のマネジメント
延岡健太郎 / 高杉康成
(一橋大学イノベーション研究センター長・教授 / コンセプト・シナジー株式会社 代表取締役)
生産財における真の顧客志向とは、顧客企業だけでは創出できない高度な経済的価値(機能的価値+意味的価値)を提供することである。生産財企業がこれを実現するためには、多様な顧客企業の現場に深く入り込んで、顧客価値が提案できる能力を蓄積しなくてはならないが、多くの企業では、それができていない。本稿では、提供すべき顧客企業にとっての経済価値とは何かについて整理した上で、計測制御機器メーカーであるキーエンスの事例を通じて、生産財企業が、顧客企業や産業動向に関する知識をいかにして蓄積し、顧客価値提案能力をどのようにして高めていくのかについて議論する。
特集論文Ⅲ 消費者行動の変化をどう読み解くか―分析の視点と新たな研究の方向性
青木幸弘
(神戸大学大学院経営学研究科教授)
人口動態や価値観、雇用環境や景気動向、そして新技術や政府の規制・税制など、さまざまなマクロ的環境要因が変化するなか、消費者の行動も変わっていく。本稿では、これら消費者を取り巻くマクロ的環境要因の変化が、生活構造や生活意識の変化を経由し、消費行動や購買行動に影響を及ぼすメカニズムについて検討する。特に、消費者行動における変化の諸相のなかでも、消費主体の変化や消費プロセスの変容を通してもたらされる消費の多様化の問題に焦点をあわせる。また、インターネットの登場で情報メディア環境が大きく変わるなか、新たに求められる消費者行動の分析視点についても検討していく。
特集論文Ⅳ 実践としての顧客志向のジレンマ
栗木 契
(神戸大学大学院経営学研究科教授 )
多くの企業人が「顧客志向」の大切さを口にする。しかし、これを理念ではなく実践に移そうとする企業は、多様化する顧客の嗜好や行動に翻弄され、さまざまなジレンマに直面する。本稿では、顧客志向を実践する際に企業が陥るジレンマや落とし穴を整理した上で、「顧客志向のジレンマ」というマーケティングの問題に挑むには、「ロジカルな設計」と「クリエーティブな直感」の2つの対処原理があることを指摘する。また、組織が大規模化するとともに重用される理詰めで分析的な経営が、大規模企業の顧客志向を成長性と収益性をめぐるジレンマに追い込んでいる可能性についても指摘する。
特集論文Ⅴ スマート・エクセレンス―焦点化と共創を通した顧客戦略
小野譲司
(青山学院大学経営学部マーケティング学科教授)
きめ細かなおもてなしに象徴される日本のサービスには、スマート・エクセレンスと呼べるような、従来とは異なったエクセレンス(卓越さ)のプレゼンスが、各産業においても、消費者の生活のなかにおいても高まっている。スマート・エクセレンスとは、高品質と低コストを両立したコストパフォーマンスの高さだけでなく、特定の機能に絞り込んだ高品質なサービスを提供することで、顧客の高い満足を獲得しているサービスである。本稿では、日本のサービス産業34分野にわたる約400のブランドの顧客満足度の推移を見ながら、顧客にとってのエクセレンスの変化が生じている背景にあるメカニズムを、焦点化、企業と顧客の価値共創、そして顧客ミックスという切り口から考える。
特集論文Ⅵ 市場育成を通じた価値創造のマネジメント―株式会社生活の木の事例を中心に
吉田満梨
(立命館大学経営学部准教授)
顧客ニーズが不明瞭な環境下で、自社の優位性を活かした価値創造を実現するためには、単なる製品開発や、顧客適応だけではなく、製造企業が主導して市場を育成し、創造された市場に対して適応する、「創造的適応」としてのマーケティングが重要になる。本稿は、ユーザーやパートナー企業と共に、多様な使用価値の創出と継続的な製品開発を行う、市場育成(価値共創)のアプローチの有効を主張するものである。そのために、ユーザーの声を取り入れた市場育成を通じて、日本に新たなハーブ・アロマ市場を創造し、継続的な市場拡大と企業成長を実現している、生活の木の事例を検討することで、市場育成による価値創造の有効性と、具体的なマネジメントプロセスについて明らかにする。
[経営を読み解くキーワード]
企業再生
芦澤美智子 (横浜市立大学国際総合学部経営学コース准教授)
[技術経営のリーダーたち]
クルマをデザインするのではなく、マツダブランドをデザインする
前田育男 (マツダ株式会社 執行役員 デザイン本部長)
[ビジネス・ケース]
シスメックス―真の顧客志向と顧客価値最大化によるグローバルリーダーへの飛躍
延岡健太郎 / 栗木 契 / 藤井 誠
(一橋大学イノベーション研究センター長・教授 / 神戸大学大学院経営学研究科教授 / 神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程)
検体検査の領域で事業展開している医療機器メーカーのシスメックスは、1990年代の事業転換期を経て、神戸に拠点を構える「良好な企業」から、ヘマトロジー分野の事業を中心にグローバルに展開する「偉大な企業」への飛躍を遂げた。そのことは、2013年3月期までの過去18年間に4倍超に拡大した同社の連結売上高の数字に表れている。本ケースでは、シスメックスによる、事業のターゲット市場の選択、商品開発やサービス提供における競合企業との差別化戦略、グローバル展開を通じ、同社が他社に対して競争優位を確立している要因と、その根幹にある経営ビジョンや顧客価値づくりについて検討する。
[ビジネス・ケース]
日本コカ・コーラ―新型自動販売機「ピークシフト自販機」の開発と事業展開
米倉誠一郎 / 金 成美
(一橋大学イノベーション研究センター教授 / 一橋大学大学院商学研究科博士後期課程1年)
日本国内には自動販売機が約250万台設置されており、そのなかの4割弱にあたる約98万台はコカ・コーラシステム1)が直接管理するものである。飲料自動販売機は1962年、国産初の瓶入り自動販売機が導入されてから1997年まで右肩上がりで日本全国に設置された。しかし、エネルギー節約や環境問題などへの関心の高まりに伴って合計設置台数は横ばいになり、自動販売機業界は省エネ型自動販売機の開発に迫られた。それに加え、日本では2011年3月11日の東日本大震災を契機にエネルギー節約への要求がさらに高まり、自動販売機不要論が広まった。ひいては自動販売機廃止論まで台頭するようになった。自動販売機ビジネスの存続の危機に直面したコカ・コーラシステムは、この危機を乗り越えるために2011年5月から富士電機と共同で「ピークシフト自販機」を開発し、その設置を始めた。「ピークシフト自販機」は、自動販売機による節電を「減らす」から「ずらす」への発想の転換により開発されたものであり、電力消費が最も多い日中の16時間、冷却機能を停止させる画期的な試みである。本ケースでは、「ピークシフト自販機」の開発とその事業化までを検討し、日本コカ・コーラがこのようなイノベーションを引き起こすことができた理由は何かを明らかにすることで、イノベーションのドライビング・フォースについて考察する。
[コラム]経営は理論よりも奇なり 第1回(新連載)
「バカな」と「なるほど」
吉原英樹 (神戸大学名誉教授)
[私のこの一冊]
■ダイバシティが組織にもたらす可能性に気づかせてくれた書―『システムの科学(第3版)』
谷口真美 (早稲田大学大学院商学研究科教授)
■夢を追い求めるための現実主義―『日本人へ リーダー篇』
清水勝彦 (慶應義塾大学ビジネス・スクール教授)
[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
コミュニケーションは「水」のようなもの。安くておいしくて安全が一番
森川 亮 (LINE株式会社 代表取締役社長 )
[第13回 ポーター賞受賞企業に学ぶ]
大薗恵美/山﨑聖子
(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授/ 一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任研究員)
ご購入はこちらから
東洋経済新報社 URL:http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/hitotsubashi/
〒103-8345 中央区日本橋本石町1-2-1 TEL.03-3246-5467
47巻までの「ビジネスレビュー」についての問い合わせ・ご注文は
千倉書房 〒104-0031 中央区京橋2-4-12
TEL 03-3273-3931 FAX 03-3273-7668
2014年3月2日日曜日
「科学技術イノベーション政策のための科学」プログラム全体会議に参加しました
2014年3月1日および2日、クロスウェーブ府中にて JST 社会技術研究開発センター 「科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム」平成25年度 プログラム全体会議が開催されました。一橋大学イノベーション研究センターからは、長岡PJ『イノベーションの科学的源泉とその経済効果』および楡井PJ『科学技術イノベーション政策の経済成長分析評価』が参加し、口頭発表およびポスター発表を行いました。
長岡PJ からは長岡貞男教授、西村淳一学習院大准教授および原泰史特任助手が、楡井PJ からは楡井誠准教授、赤池伸一教授、青木周平一橋大経済学研究科講師、外木暁幸特任助手、村尾徹士九州大学経済学研究員助教および木村めぐみ特任助手が参加しました。
『革新的医薬の研究開発プロセスとその科学的源泉 (長岡PJ)』
ポスター発表を行う外木特任助手 (楡井PJ)
全体会議では、各PJからの研究進捗報告に加え、海外の「政策のための科学」に係る状況、データ・情報基盤の整備状況、「科学技術イノベーション政策のための科学」プログラム全体の方向性などが議論されました。
今後、さらなる研究の進展、研究成果の政策的な実装が期待されています。
(文責: 原)
登録:
投稿 (Atom)