2015年12月24日木曜日

【お知らせ】野中郁次郎名誉教授が日本学士院会員に選定されました



野中郁次郎名誉教授が、このたび日本学士院会員に選定されました。野中名誉教授は、当イノベーション研究センター(および当センターの前身である産業経営研究施設)、 さらに本学大学院国際企業戦略研究科において教育・研究活動に従事されました。

また、知識創造経営理論の生みの親として、日本における経営学の発展に多大な貢献を行うと共に、日本企業の経営実践を普遍化し知識を基盤とする経営理論を広く世界に発信するなど、日本のみならず世界において経営学研究の新しい潮流となり、野中名誉教授の提唱した理論のもとに様々な理論的実証的研究が今日まで行われています。

詳細は日本学士院のページをご覧ください。

2015年12月17日木曜日

【イノベーションフォーラム】2016.1.27 紺野由希子

イノベーションフォーラムのお知らせ 2016年1月27日

テーマ:
「経営事項審査データを用いた建設企業の分析」

 公共事業の入札参加資格である経営事項審査のデータを用いて、建設企業の企業活動について分析を行った結果について発表する。       

講演者 :
紺野 由希子  (一橋大学イノベーション研究センター 特任助教)

日時:
2016年1月27日(水) 12:15~14:00
      (昼食持ち込み可)

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室 

幹事:江藤 学(イノベーション研究センター)

2015年12月14日月曜日

【お知らせ】科学技術への顕著な貢献 2015

大山睦 准教授が科学技術・学術政策研究所より、科学技術イノベーションにおいて顕著な貢献をした「ナイスステップな研究者」として選定されました。


科学技術・学術政策研究所では、平成17年より、科学技術イノベーションの様々な分野において活躍し、日本に元気を与えてくれる方々を「ナイスステップな研究者」として選定されています。

平成27 年においては、科学技術・学術政策研究所の調査研究活動や専門家ネットワーク(約2,000 人)への調査をとおして明らかとなった研究者の業績について、研究、産学連携及び研究支援等の観点から、特にその成果が顕著であり、科学技術イノベーションに貢献する注目すべき11 名が選定されました。

選定の対象となった大山睦・イノベーション研究センター准教授の研究は「科学者のキャリア選択に関する経済理論モデルの開発・提案」です。「大山氏が提案した理論モデルは、科学者の労働市場を説明するための体系的な理論であり、将来の研究への応用可能性が高いものです。この理論モデルをベースにして、日本の科学者の労働市場に関する分析が大いに発展することも期待されています。」等の評価をいただきました。


詳細は以下のHPをご覧下さい。

科学技術・学術政策研究所:
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/nistep2015.pdf

一橋大学大学院商学研究科:
http://www.cm.hit-u.ac.jp/hit/874.html


☆2016年3月29日
ナイスステップな研究者インタビュー記事が掲載されました
http://hitotsubashiiir.blogspot.jp/2016/03/blog-post.html

2015年12月9日水曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2015年度 Vol.63-No.3

2015年度<VOL.63 NO.3> 特集:中国モデルの破壊と創造

















12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社




特集:
20世紀終盤から「世界の工場」として急成長を遂げてきた中国。国が富むにつれ、中国は「世界の市場」としての性格も帯び始めている。さらに地場からは世界的に著名な企業も登場した。しかしながら、近年ではマクロ経済指標が次々に悪化しており、人件費の高騰やシャドーバンキング問題、株価や不動産価格の下落など、負の側面もさまざまに顕在化している。本特集は、このように多様な諸相を見せる中国経済および中国ビジネスを多角的な視点や分析レベルで論じる。

特集論文Ⅰ 中国マクロ経済の光と影
田中 修(日中産学官交流機構 特別研究員)
中国経済は最近減速しているものの、指標には一部改善の傾向もあり、株式・国際金融市場に大きな混乱が発生しなければ、ハードランディングに陥る可能性は低い。習近平指導部も、過去の大規模な景気刺激策が経済リスクを増大させた反省を踏まえ、雇用が安定していれば安易に短期・大型の景気刺激策を発動せず、ターゲットを絞った景気テコ入れ策を小まめに打ち出しながら、むしろ経済改革・構造調整を重視する姿勢をとっている。今後の見通しとしては、2020年までに経済改革と構造調整を着実に進め、経済発展方式の転換に成功できなければ、中国経済は「中等所得の罠」に陥り、低成長・ハードランディングのリスクが増大することになろう。

特集論文Ⅱ 中国資本主義の牽引役、温州モデルは脱皮できるか──コミュニティー・キャピタルによる温州企業の繁栄と限界
西口敏宏/辻田素子
(一橋大学イノベーション研究センター教授/龍谷大学経済学部教授)
知識や学歴といった「個人的資源」に恵まれない温州人企業家が、他の中国人を圧倒する繁栄を手にできたのはなぜか。本稿は、彼らの「コミュニティー」に起因するパフォーマンス上の違いを分析するにあたり、特定のメンバーシップによって明確に境界が定まり、その成員間でのみ共有され利用されうる資源としての「コミュニティー・キャピタル」と、個人のネットワーク戦略に注目する。その結果、温州人の同郷縁をベースとする結束型コミュニティー・キャピタル(内的凝集性)と、遠距離交際に長けた「ジャンプ型」人材を中心とするネットワーク能力の高さ(外部探索性)のバランスの良さが浮き彫りになった。ただし近年は、温州人に繁栄をもたらしたその特性が、彼らのさらなる発展を拘束している。

特集論文Ⅲ 社会ネットワークを介した希少資源の効率的多重活用──中国PV産業急発展のメカニズム
青島矢一/王 文
(一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院商学研究科博士課程)
太陽光発電(PV)産業は、世界各国の普及政策に後押しされて急発展を遂げてきた。この発展において特筆すべきは、技術的な先端産業であるにもかかわらず、実質的に市場が立ち上がった2000年代後半の5~6年の間に、圧倒的に後発であった中国企業が、日欧企業からシェアを奪い、一気に市場を席巻したことである。中国企業はなぜここまで短期間に競争力を獲得できたのか。特に、成長に必要となる有能な技術者と経営者の不足をどのようにして克服したのか。本稿では、中国におけるPV産業の集積地である江蘇省無錫市における丹念な実態調査を通じて、企業間での情報や知識の移転と共有という観点からこれらの問いに対する1つの回答を提示するとともに、そこに付随する問題点も指摘する。


特集論文Ⅳ アリババ──プラットフォーム帝国への道
江 鴻/劉 湘麗/黄 陽華/賀 俊
(中国社会科学院工業経済研究所 助理研究員/中国社会科学院工業経済研究所 研究員/
中国社会科学院工業経済研究所 副研究員/中国社会科学院工業経済研究所 副研究員)
アリババは、現行の制度や慣行と実際の市場ニーズとの隙間を的確に見いだし、ITを駆使して、日用品、生産財から行政手続き、金融商品、医療サービスまでさまざまなものをオンラインで販売してきた。変化の時代にある今日の中国では、制度・慣行も、市場ニーズも、大きく動いている。両者の隙間は埋められたかと思えば、また新たな隙間が生まれる。アリババは、まさにこうした隙間を利用して、物やサービス売買の仲介者としてプラットフォーム帝国を築き上げた。時代は、ビッグデータがものをいう方向へ流れている。隙間に関する目利きという点では、アリババの経営者は優位に立っているが、ITについてはクリエイティブな精神をもって対応しなければならない。

特集論文Ⅴ 中国企業の成長とリバース・イノベーション2.0
徐 航明(日系大手電機メーカー勤務)
「世界の工場」でGDP世界第2位へと躍進した中国は、持続的な成長のために「世界のR&D」へ変身しようとしている。「コア技術がない」「模倣天国」などといわれている中国だが、先進国企業の強みをいち早く吸収する巧妙な学習力と、世界最大の産業集積地としての成長や人材の豊富さを加えて、中国発、中国ならではのイノベーションはすでに始まっている。本稿では、中国企業のイノベーションの事例を通じて、ローカルニーズに適用されるグローバルシーズの活用による価値創造のプロセスと、中国企業が担い手となる「リバース・イノベーション2.0」を考察する。

特集論文Ⅵ 得意技の抽象化と現場翻訳
藤原雅俊(一橋大学大学院商学研究科准教授)
中国市場で一定の成果を挙げている日本企業は、いったいどのようにして競争優位を実現しているのだろうか。本稿は、3度にわたり大きく波打ちながら楽観と悲観を繰り返してきた日本企業による中国展開史を概観した上で、クボタのコンバイン事業を取り上げ、同社が競争優位を実現するまでのメカニズムを考察する。水稲用賃刈屋を対象顧客とした同社は、その賃刈屋の声に徹底的に応えて連合サービスという仕組みを構築し、コンバインの「絶え間ない耐久性」を実現した。その仕組みは中国独自であるものの、機能に目を向けると、同社が日本市場で構築してきたサービス特急便が果たす機能と相通じている。自社独自の顧客価値とそれを実現する手段とをあわせて得意技と呼べば、クボタは日本市場で構築してきた得意技を抽象化した上で、それを中国市場で現場翻訳したのだった。本稿は、このように得意技を抽象化し、海外市場において現場翻訳することの重要性を説く。


[技術経営のリーダーたち] 第26回
ブランドを生み出すには、ストーリーを語るリーダーが必要
小川理子
(パナソニック株式会社 役員 テクニクスブランド事業担当)

[経営を読み解くキーワード]
ほんもの
大竹光寿
(明治学院大学経済学部准教授)

[ビジネス・ケース]
モルフォ──東大発ベンチャーの10年 手ブレ補正ソフトウェアによる起業からグローバル展開まで
小阪玄次郎/上智大学小阪ゼミナール
(上智大学経済学部経営学科准教授)
スマートフォンの高機能化に伴い、画像や動画撮影でもデジタルカメラに劣らないような高品質な仕上がりが求められている。そのなかで手ブレ防止などのデジタル画像処理技術を提供しているのがモルフォである。同社は、東京大学大学院を修了したメンバーを中心として立ち上げられたベンチャー企業である。設立にあたっては東京大学のベンチャーキャピタルが開発拠点と資金を提供した。現在、同社のソフトウェアは世界の主要スマートフォンメーカーの大半で導入されている。設立10年ほどの大学発ベンチャーが、いかにしてこうした成功を収めたのだろうか。本ケースでは、創業の経緯や開発戦略、組織設計、そして同社をサポートした大学の役割についてたどっていく。

良品計画──中国に広げる「感じ良いくらし」
西野和美 
(東京理科大学大学院イノベーション研究科准教授)
1980年に誕生した無印良品(良品計画)。「わけあって、安い。」というキャッチフレーズの下、シンプルで美しい生活雑貨を開発し、「MUJI」の名で世界にも広く知られている。同社は、早くから海外進出を始め、現在、世界25カ国・地域に進出している。なかでも中国では、ここ10年で急速に店舗数を拡大しており、MUJIの提案するライフスタイルが受け入れられつつある。しかしそこに至るまでには、多くの紆余曲折があった。本ケースでは、どのように現地で店舗と流通網を作り上げ、店舗運営を行い、従業員に理念を浸透させていったのか。そして、顧客にどんな新しい価値を提案しているのかをたどっていく。

[連載]無印良品の経営学
[第3回]無印良品の再生
西川英彦 (法政大学経営学部教授)

[コラム]価値創りの新しいカタチ──オープン・イノベーションを考える
[第3回]外部のトライアル・アンド・エラーの成果を活かすためのモジュール化
清水 洋 (一橋大学イノベーション研究センター准教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎・藤原雅俊
経済合理性を旗印にして14億人の巨大市場に果敢にチャレンジせよ
丹羽宇一郎
(日本中国友好協会 会長/元・駐中国大使)


[私のこの一冊]
■私たちは、「科学知」とどう向き合うか──西山哲郎編『科学化する日常の社会学』
 服部泰宏 (横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授)

■職業人生の原点に戻っていける──ジェフリー・アーチャー『百万ドルをとり返せ!』
 川本裕子 (早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)


ご購入はこちらから
〒103-8345 中央区日本橋本石町1-2-1 TEL.03-3246-5467

47巻までの「ビジネスレビュー」についての問い合わせ・ご注文は
千倉書房 〒104-0031 中央区京橋2-4-12
TEL 03-3273-3931 FAX 03-3273-7668

2015年11月20日金曜日

【お知らせ】第6回一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

第6回 一橋ビジネスレビュー・スタディセッション


中国モデルの破壊と創造

開催日時:
2016年1月28日(木)19:00~20:45(受付開始 18:30~)
*有料のイベントです。

会場:
学術総合センター 1F/ー橋大学商学研究科リエゾン・ラボ

お申込みに関する注意事項:
※一般および学生の方にはお申込後、『一橋ビジネスレビュー』2015年冬号をお送りいたします。
 (*『一橋ビジネスレビュー』2015年冬号の発送は、12月21日(月)以降になります。)
※会場には必ず『一橋ビジネスレビュー』2015年冬号を持参してください。


19:00~19:05 オープニング(5分間)

19:05~19:45 Session1(40分間)
「中国マクロ経済の光と影」
日中産学官交流機構特別研究員
田中 修 
       2015年冬号「中国マクロ経済の光と影」執筆者

19:45~20:25 Session2(40分間)
「中国資本主義の牽引役、温州モデルは脱皮できるか」
一橋大学イノベーション研究センター教授
西口 敏宏 
       2015年冬号「中国資本主義の牽引役、温州モデルは脱皮できるか」執筆者


20:25~20:45 質疑応答・全体討議(20分間)




その他詳細およびお申込は下記のサイトをご覧ください。
▼申込
https://www.b-forum.net/event/jp607jabh/form.php
▼プログラム詳細
http://www.b-forum.net/event/jp607jabh/detail.html 


お問い合わせ先:
ビジネス・フォーラム事務局(本スタディ・セッション企画運営担当) 03-3518-6531

2015年10月29日木曜日

【イノベーションフォーラム】2015.12.16 吉岡(小林)徹

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年12月16日

当フォーラムは中止となりました



テーマ:
「技術イノベーターとしてのデザイナー」

 研究開発は自然科学系の教育を受けた科学者・技術者だけが担うべきなのだろうか。
 本研究は、工業デザイナーの研究開発への寄与を日本の特許データから明らかにし、
 なぜ彼らが技術イノベーションを生み出すかを議論する。
      

講演者 :
 吉岡(小林)徹  (イノベーション研究センター 特任講師)


日時:  当フォーラムは中止となりました
2015年11月25日(水) 12:15~14:00  

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室 (昼食持ち込み可)

幹事:江藤 学(イノベーション研究センター)

【イノベーションフォーラム】2015.11.25 秋池・ 勝又

イノベーションフォーラム(IMPP共催)のお知らせ 2015年11月25日


テーマ:
「消費者から見たデザインの新奇性の意味」

 消費者はどのような点をとらえて「デザインが新しい」と感じているのだろうか。
 アンケート調査をもとにデザインの新奇性の意味を探求した。       

講演者 :
 秋池 篤    (東北学院大学経営学部 助教)
 勝又 壮太郎 (大阪大学大学院経済学研究科 准教授)

日時:
2015年11月25日(水) 16:30~18:00

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室  

幹事:江藤 学(イノベーション研究センター)

【イノベーションフォーラム】2015.11.25 Nabil Abou Lebdi

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年11月25日

テーマ:
"Radical Innovation - A domain of SMEs?
 A novel test of the Schumpeterian Hypothesis"

講演者 :
 Nabil Abou Lebdi
(University of Luxembourg)

日時:
2015年11月25日(水) 12:15~13:15

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室  (昼食持ち込み可)

幹事:大山 睦 (イノベーション研究センター)
     岡室 博之(大学院経済学研究科)

2015年10月14日水曜日

【イノベーションフォーラム】2015.10.21 牧兼充氏

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年10月21日


テーマ:
"Inventor Involvement in the Success of University-Based Startups"

講演者 :
 牧 兼充
(スタンフォード大学アジア太平洋研究所リサーチアソシエイト)

日時:
2015年10月21日(水) 16:00~17:30

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室 

幹事:

詳細はIMPPのブログをご覧ください
 http://impp.iir.hit-u.ac.jp/imppblog/2015/10/imppws/

2015年9月14日月曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2015年度 Vol.63-No.2

2015年度<VOL.63 NO.2> 特集: ファミリービジネス その強さとリスク















12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社




特集:
経済の原動力のけん引車は多国籍企業だというイメージが強いが、主要産業国においてファミリー企業による付加価値や雇用の創出への貢献度は決して小さくないという。特に日本は、その貢献度が大きいファミリービジネス大国であり、高い業績パフォーマンスを続ける長寿企業が多いといわれている。にもかかわらず、日本におけるファミリービジネスの研究は発展途上である。本特集のねらいは、日本のファミリービジネスの研究を整理し、考察することで、今後の研究の方向性を示すことである。世界最古の企業といわれる金剛組の研究や日本のファミリービジネスの業績優位に関する実証研究結果から日本のファミリービジネスの強さの要因を分析し、その一方で抱えるリスクへの対処方法としてのファミリービジネスのガバナンスのあり方について議論を展開する。

特集論文Ⅰ ファミリービジネスの理論―昨日、今日、そしてこれから
奧村昭博(静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科特任教授)
ファミリービジネスは、かつては遅れた存在とされ、消滅するだろうといわれてきた。ところが、世界的に見たときにファミリービジネスはきわめて長寿であり、業績も優れていることがわかった。これまでのファミリービジネス研究は欧米を中心になされてきた。本稿では、これまでの欧米におけるファミリービジネス研究を構築する資源ベース理論、エージェンシー理論および社会情緒的資産理論などをサーベイする。しかし日本はファミリービジネス大国であるにもかかわらず、その研究はまだ発展途上である。その意味で日本のファミリービジネスを理論的に研究する価値がある。これからの日本のファミリービジネス研究の方向性を提案する。

特集論文Ⅱ 日本のファミリービジネス研究
淺羽 茂(早稲田大学ビジネススクール教授)
ファミリービジネスのなかには創業者一族による閉鎖的な経営が問題を起こす企業もあるが、高いパフォーマンスを上げ続ける長寿企業も多い。日本におけるファミリービジネス研究は盛り上がりつつあるとはいえ、まだまだわれわれはファミリービジネスについて知らないことが多い。日本における実証研究は、当初はファミリービジネスと非ファミリービジネスとのパフォーマンス比較研究が多かったが、最近は情報開示、CSP、設備投資、研究開発など、いくつかの経営行動についてその特徴を探る研究が行われている。ファミリービジネスについての理論は多様なので、理論を区別できるような仮説群を設定した行動比較研究が今後も期待される。

特集論文Ⅲ ファミリービジネスと戦後の日本経済―上場企業のデータから見えてくる日本のファミリービジネスの姿
ウィワッタナカンタン・ユパナ/沈 政郁
(シンガポール国立大学ビジネススクール アソシエート・プロフェッサー/京都産業大学経済学部准教授)
上場企業の長期的なデータを用いて日本のファミリービジネスの特徴を明らかにすることが、本稿の目的である。主な内容は、ファミリービジネスは上場企業においても主要なプレーヤーであること、特に戦後の日本経済においてファミリービジネスが担ってきた役割は決して小さくなく、ファミリービジネスは平均的に見て非ファミリービジネスより優れた業績を示していること、そして日本のファミリービジネスが良い業績を示している背景にはファミリービジネスが潜在的に持ちうる弱みを克服する何らかの制度的措置を持っていること、制度的措置として婿養子の慣習とファミリー後継者への橋渡し役をする暫時専門経営者の存在に関する考察を行うというものである。


特集論文Ⅳ ファミリービジネスの発展成長とガバナンス
長谷川博和/米田 隆
(早稲田大学ビジネススクール教授/早稲田大学ビジネススクール客員教授)
主要先進国のなかでも、ファミリービジネスのGDPおよび雇用に対する貢献度が高いファミリービジネス大国日本。ファミリービジネスが日本経済の成長力、イノベーションを高める上で果たしている役割に、注目が集まっている。ファミリービジネスには、長期的事業評価が可能、価値観の継続性、迅速な意思決定という強みがある一方、その強みを阻害するような弱みも内包される。継続的に強みを生かすには、パラレルプランニングや、世代交代を進化のプロセスとするシステムや、永続戦略を可能にするガバナンス体制の構築プロセスが大いに参考となる。一族の価値観や伝統を生かしたガバナンス体制の構築により、ファミリービジネスの競争優位性は強化されるだろう。

特集論文Ⅴ ファミリービジネスの強みと課題―解決策としての家族憲章とファミリーオフィス
大澤真(株式会社フィーモ 代表取締役)
「いいファミリービジネス」は、短期的な成長・収益よりも永続を重視し、「利他の精神」に基づいて、自分・自社の利益よりも、社員、顧客、取引先、社会などステークホルダーの幸せや利益を優先している。一方でファミリービジネスは、ファミリービジネスであるがゆえの弱みを持つ。その最大の要因は「家族リスク」である。本来はプラスに働くはずの家族の結束は意外に崩れやすく、それは経営にも大きな影響を及ぼす。欧米では、このリスクを事前に回避する方策として、「家族」「経営」「所有」の3つのバランスを維持する基本的考え方を明確にし、そのための専門的組織を設立することが提唱されている。前者が「家族憲章」であり、後者が「ファミリーオフィス」である。

特集論文Ⅵ 世界最古の企業 金剛組の叡智に学ぶ―伝統産業のビジネスシステムから見た長期存続の条件
曽根秀一(静岡文化芸術大学文化政策学部専任講師)
世界最古の企業といわれる金剛組。その歴史の始まりは1400年以上もさかのぼる。「なぜ金剛組は、1000年以上にもわたり、存続することができたのか」というリサーチクエスチョンの下、筆者は、金剛家からの依頼により、十数年にわたって一次資料の発掘から調査、顧客や関連企業・地域などステークホルダーも含めたフィールドワークを行ってきた。さらに近年、資料調査が進み、これまでの定説が覆るなどさまざまな事実が判明してきた。その金剛組を論じるにあたり、欠かせないものとして、技能の人材と経営の人材が挙げられる。そこで、ビジネスシステム(事業システム)論のフレームワークを援用しながら、金剛組を中心とした長寿企業における制度化された叡智がいかに積み重ねられ、持続的競争優位を形成することができたのかを論じていく。現代企業が体験しえない危機や失敗を何度も繰り返し、乗り越えてきたのが長寿企業である。こうした、超長期的なスパンで企業の存続について論じることができるのは、長寿企業ならではの魅力であろう。


[経営を読み解くキーワード]
消耗品収益モデル
藤原雅俊
(一橋大学大学院商学研究科准教授)

[技術経営のリーダーたち] 第25回
自分の技術や仕事で、
世の中の人に貢献できるものを
創ろうという高い志を持つべき
尾道一哉
(味の素株式会社 常務執行役員 研究開発企画部長)

[ビジネス・ケース]
オリンパス――胃カメラとファイバースコープの開発
山口翔太郎/清水 洋
(一橋大学大学院商学研究科修士課程/一橋大学イノベーション研究センター准教授)
製造業において、技術革新によってコア技術そのものが破壊されるような場合には、従来のトップ企業のマーケットシェアが新技術を持つ企業に奪われ、業界のトップが交代するという例も少なくない。当該製品技術の変化がラジカル(急進的)であればあるほどトップを維持するのは難しいと思われるが、オリンパスの内視鏡事業は度重なる技術革新のなかでも、常にイノベーションを起こし業界をリードしてきたレアケースだと言えるだろう。本ケースでは、内視鏡の技術革新の流れを追いながら、そのなかで同社が業界をリードし続けてきた要因について考察する。

ジェイアイエヌ――眼鏡業界におけるSPA事業モデル
網倉久永/三輪剛也 
(上智大学経済学部教授/上智大学経済学部経営学科)
「JINS」ブランドで眼鏡チェーン店を展開するジェイアイエヌは、独自のSPA(製造小売)事業モデルで、日本の眼鏡業界を大きく変化させてきた。同社が眼鏡一式1万円を下回る価格で市場参入した2001年当時、眼鏡一式の平均価格は約3万円であった。SPA企業による低価格眼鏡は消費者の支持を集めてきたものの、ジェイアイエヌの損益は周期的に変動してきた。2008年度、09年度の赤字計上を受けた抜本的な事業改革によって、2010年度以降は売り上げ・利益ともに右肩上がりの上昇を見せていたが、2014年度には減収減益となっている。本ケースでは、ジェイアイエヌの事業モデルの概要と、SPA企業としての同社の経営課題を検討する。

[連載] 無印良品の経営学 第2回
無印良品の拡大
西川英彦
(法政大学経営学部教授)

[コラム] 価値創りの新しいカタチ─オープン・イノベーションを考える 第2回
HowとWhatをオープンにする
清水 洋 (一橋大学イノベーション研究センター准教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
企業ミッションを実現し続けるためには、時代に沿った新しいアクションが必要。
新社長の舵取りにすべてを託す
髙田 明
(株式会社ジャパネットたかた 創業者・前社長/株式会社 A and Live 代表取締役)


[私のこの一冊]
■地上の「聖書」――トクヴィル『アメリカのデモクラシー』
 西口敏宏 (一橋大学イノベーション研究センター教授)

■日本企業の特有性を学んだ経済学の名著――青木昌彦『比較制度分析序説―経済システムの進化と多元性』
 川上智子 (早稲田大学ビジネススクール教授)

[第10回 一橋ビジネスレビュー・フォーラム]


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東洋経済新報社 URL:http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/hitotsubashi/
〒103-8345 中央区日本橋本石町1-2-1 TEL.03-3246-5467

47巻までの「ビジネスレビュー」についての問い合わせ・ご注文は
千倉書房 〒104-0031 中央区京橋2-4-12
TEL 03-3273-3931 FAX 03-3273-7668

2015年9月4日金曜日

【お知らせ】第5回一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

第5回 一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

ファミリービジネス その強さとリスク

開催日時:
2015年10月1日(木)19:00~20:45(受付開始 18:30~)
*有料のイベントです。

会場:
学術総合センター 1F/ー橋大学商学研究科リエゾン・ラボ

お申込みに関する注意事項:
※一般および学生の方にはお申込後、『一橋ビジネスレビュー』2015年秋号をお送りいたします。
 (*『一橋ビジネスレビュー』2015年秋号の発送は、9月10日(木)以降になります。)
※会場には必ず『一橋ビジネスレビュー』2015年秋号を持参してください。


19:00~19:05 オープニング(5分間)

19:05~19:45 Session1(40分間)
「ファミリービジネスの理論」
静岡県立大学大学院
経営情報イノベーション研究科特任教授
奥村 昭博  2015年秋号「ファミリービジネスの理論」執筆者

19:45~20:25 Session2(40分間)
「世界最古の企業 金剛組の叡智に学ぶ」
静岡文化芸術大学
文化政策学部専任講師
曽根 秀一  2015年秋号「世界最古の企業 金剛組の叡智に学ぶ」執筆者

20:25~20:45 質疑応答・全体討議(20分間)




その他詳細およびお申込は下記のサイトをご覧ください。
http://www.b-forum.net/event/jp584/

お問い合わせ先:
ビジネス・フォーラム事務局(本スタディ・セッション企画運営担当) 03-3518-6531

2015年8月11日火曜日

【イノベーションフォーラム】2015.11.4 Matthias Kipping

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年11月4日


テーマ:
"The Rise of Management Power: Business Schools, Consultants, Media"

講演者 :
 Matthias Kipping
(Professor of Policy, Schulich School of Business, York University)

日時:
2015年11月4日(水) 12:15~13:45

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室  (昼食持ち込み可)

幹事:清水洋

2015年7月30日木曜日

IIRサマースクール2015-プログラム


IIRサマースクールは盛会のうちに終了いたしました。
ご参加くださいました皆様、誠にありがとうございました。

IIRサマースクール2015のプログラム(暫定版 8/20現在)をお知らせいたします。

開催日程:2015年8月24日(月)~25日(火)

場所:一橋大学 佐野書院(東京都国立市中2-17-35)

プログラム 
    プログラムのダウンロードはこちらから 

August 24        Language: English
Morning Session: 10:00-11:50 (Chair: Aoshima)
10:00-10:10: Nobeoka
10:10-11:00: Yasumoto & Shiu “Investigating New Innovators Emerging through Standardization”
11:00-11:50: Fazekas “Organizational Fields Mixing”

Lunch: 11:50-12:50

Afternoon Session 1: 12:50-15:00 (Chair: Karube)
12:50-13:40: Sun “Processes of Behavioral Learning in Organizations”
13:40-14:30: Heller “MonozukuriManagement”
14:30-15:00: Wang “Industrial Growth and Resource Mobilization in Developing Countries”

Coffee Break: 15:00-15:20

Afternoon Session 2: 15:20-18:00 (Chair Malen)
15:20-16:10: Wan “Pharmaceutical Patents and Generic Entry Competition”
16:10-16:40: Jeon “Patent Litigation and Cross Licensing with Cumulative Innovation”
16:40-17:10: Nakamura “Innovation Adoption as Status Seeking Activities by Status Losers”
17:10-18:00: Haxhi “Corp. Governance & Corp. Political Activity Exploring the Impact of CEO Power”

Party:18:00-20:00


8月25日 日本語セッション
午前セッション1: 9:00-11:00 (司会:田村)
9:00-9:30:    谷口「省庁横断的政策におけるイシューフレーミングの多様性とその帰結」
9:30-10:00: 高田 「共同研究開発を通じたイノベーションの陥穽とその克服」
10:00-1030: 田中 「ビジネス・インテリジェンス(BI)におけるサービスの役割」
10:30-11:00: 久保「製品イノベーションにおけるデザイナーの役割」

午前セッション2: ゲストスピーカー 11:10-12:10
山岸俊男先生「信頼と社会的知性」

ランチ:12:10-13:00

午後セッション1: 13:00-15:10 (司会:大山)
13:00-13:30: 杉山 「製品カテゴリーの形成における消費者参加の役割」
 13:30-14:20:  積田・久保田「内発的動機は研究成果を高めるか?」
14:20-15:10:  柴田・立本「カニバリゼーションを原因とした同質化の遅れの研究」

コーヒーブレーク: 15:10-15:30

午後セッション2: 15:30-17:10 (司会:北野)
15:30-16:20:  豊重 ・長内「許認可制度がもたらす意味的価値のジレンマ」
16:20-17:10:  松田「企業の技術開発と存続や業績に関する実証分析」

閉会:17:10-17:25 延岡


■オーディエンスとしての参加
下記のHPから、2015年8月20日の9:00までにお申し込みください。

オーディエンスのお申し込みは締め切りました。



会場の収容人数の都合により出席者を調整させていただく場合がありますので、
予め御了承ください。

2015年7月10日金曜日

【お知らせ】江藤学教授(編)『スイスのイノベーション力の秘密 ― 競争力世界一の国に学ぶ』が刊行されました

江藤学・岩井晴美(編)『スイスのイノベーション力の秘密 ― 競争力世界一の国に学ぶ』(日本貿易振興機構(ジェトロ))が、2015年7月3日に刊行されました。

スイスのイノベーション力の秘密 ― 競争力世界一の国に学ぶ
2015年7月3日発売
定価(本体2700円 税込)
ISBN 978-4822411480
日本貿易振興機構(ジェトロ)
判型・ページ数:A5判 256頁


目次
はじめに

第1章 スイス経済の現状と課題
 1.スイスの特色と背景的要因
 2.スイスの特色を生み出した政策的取り組み
 3.スイスが直面する4つの課題

第2章 スイスの産業力の秘密を探る
 1.時計産業の発展と戦略
 2.エネルギー産業
 3.繊維産業
 4.農業
 5.商業・流通
 コラム1:ティチーノ州の発展と悩み
 コラム2:高級デパート グローブスの食品売り場

第3章 スイス中小企業のグローバリゼーション
 1.中小企業施策
 2.グローバル中小企業事例
 3.グローバル中小企業の分析
 4.グローバル中小企業の強さ

第4章 日本の将来への示唆
 1.スイスの強さ
 2.スイスのシステムを活用する日本企業
 3.日本がスイスから学べること
 コラム3:サンスター社の電動アシストユニット


日本貿易振興機構(ジェトロ)のサイトはこちらです。

2015年7月9日木曜日

【イノベーションフォーラム】2015.7.15 花木伸行

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年7月15日

テーマ:
"Cognitive Ability and Strategic Uncertainty in an Experimental Asset Market"

講演者 :
花木伸行 (Aix-Marseille University)

日時:
2015年7月15日(水) 16:00~17:30

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室

幹事: 大山 睦

2015年6月19日金曜日

【イノベーションフォーラム】2015.7.16 Peter Ping Li

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年7月16日

テーマ:
"The second-home strategy for international strategic entrepreneurship"

講演者 :
 Peter Ping Li (Asia Research Center, Copenhagen Business School)

日時:
2015年7月16日(木) 12:15~13:45

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室

幹事: 藤原雅俊・清水洋

2015年6月10日水曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2015年度 Vol.63-No.1

2015年度<VOL.63 NO.1> 特集: 「最後のフロンティア」アフリカ
われわれは何を学ぶのか











12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社


特集:
経済フロンティアとしては「最後の」、人種や文化面でまったく異なるという点では日本にとって「最初の」フロンティアといえるアフリカと、日本政府や企業は今後どのようにかかわるべきか。本特集では、アフリカにおけるリスク評価やビジネスモデル構築にくわしい研究者、日本企業のアフリカ進出を支援する実務家の視点を通じて、日本政府や企業に残されたチャンスとは何か、アフリカで政治的あるいはビジネス的に成功する戦略を考えることやそのために必要な、従来とは異なるマインドセットを持つことから、日本が得られることについて考察する。

特集論文Ⅰ いまなぜアフリカなのか――最後で最初のフロンティア
米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター教授)
「いまなぜアフリカなのか」という問いに答えるならば、アフリカを考えることが日本のパラダイムチェンジにつながり、停滞する日本に新しいビジョンを提供することになると考えるからである。本稿では、日本がその契機を得るために、2つの国のケースを中心に取り上げる。アフリカ大陸の最南端に位置し多様な市場を擁する南アフリカ共和国とアフリカ中央部に位置するルワンダ共和国である。南アフリカについては、個々の市場に対してその特性を考えてどのような戦略を考えるべきか議論する。一方ルワンダについては、大虐殺という悲劇を経験し、そこから政治・経済環境の整備を進める同国に対して、従来になかったクリエーティブな支援のあり方について考察する。本稿を通じて、日本の新たなフロンティア開拓のトリガーが引かれることを期待する。

特集論文Ⅱ “日本とアフリカ”地政学・地理経済学的関係の転換――日本企業の視点から
マーティン・デイヴィス/キーラ・マクドナルド
 (フロンティア・アドバイザリー CEO/フロンティア・アドバイザリー アナリスト)
かつては「人任せ支援」と言われながらも、アフリカに対して無償の開発援助を長く続けてきた日本。しかし、中国の存在感が強くなったことにより、支援も経済的な見返りを求める形への方向転換が図られた。その見返りのなかには国連安保理常任理事国入りの支持をアフリカ諸国から獲得するという長期的目標が含まれる。本稿では、アフリカに対する日本の支援政策の進化を追うとともに、日本企業にとって現在関心の高い資源確保のための事業戦略の事例を取り上げ、彼らにとって資源の次に発展の可能性があるビジネスは何か、また、日本企業がアフリカで持続的に成功を収めるには何が重要な要素であるかを考える。

特集論文Ⅲ 新しい市場、新しいマインドセット――アフリカ拠点におけるビジネスの構築
タシュミア・イシュマエル
(プレトリア大学ゴードン・インスティチュート・オブ・ビジネス・サイエンス(GIBS)講師)
世界における低所得層を意味する言葉としてベース・オブ・ピラミッド(BOP)が定義され、その階層の市場獲得が注目されるようになって久しい。しかし、先進国の従来型ビジネスモデルをこの低所得層の市場にそのまま持ち込んだ多くの企業は失敗した。言葉や費用や時間や距離の問題によって十分な調査ができていないことが原因だ。本稿では、BOP市場を理解してビジネスモデルを設計するためのフレームワークやアフリカにおける成功企業事例の紹介、経営資源の不足または欠乏を前提にイノベーションを起こすこと、そのためにこの市場における社会的ネットワークを利用する価値などについて議論を展開する。そのなかから、企業によるBOP市場へのアプローチにおいて、目先の利益追求で代表されるステレオタイプのマインドセットを変換させて、本当の意味での持続可能な価値を加えるために、人、地球、利益を統合する姿勢が大事であることが見えてくる。


特集論文Ⅳ 紛争後/脆弱国家におけるプロジェクトファイナンスDFIsの役割は何か
ミッシェル・ルイタース/ティエリ・ジョルダーノ
(南部アフリカ開発銀行 アフリカリサーチャー/農業開発研究国際協力センター エコノミスト)
農業開発研究国際協力センター エコノミスト)
平和と持続的発展との間には強固な関係性があるとする仮説は幅広く支持されている。この仮説から、国際金融機関(International Financial Institutions: IFIs) や開発金融機関(Development Finance Institutions:DFIs)、また民間企業は、紛争後/脆弱国家(post-conflict/fragile states)に対して、リスクを最小化しつつ便益を最大化するような投資の選択肢を模索し始めている。本稿の目的は、DFIsがこうした紛争後/脆弱国家に果たす役割を明らかにすることである。

特集論文Ⅴ アフリカに行く日本企業
堺夏七子(JCCP M株式会社 代表取締役)
アフリカが最後のフロンティアであり自社もいずれ進出しなければならないことを理解している日本企業は少なくないだろう。しかしながら、54カ国のうちのいったいどの国へ最初に進出すればいいのか、その後どのように展開すればいいのか、従来の海外進出と同様の方法が通じるのか、はたまた独自の方法が必要なのか、等々と疑問ばかりが募り、最初の一歩を踏み出すことを躊躇しているのが現状ではないだろうか。本稿では、古くは1920年代からアフリカに進出している企業をはじめ、すでにアフリカでビジネスの実績を挙げている日本企業の事例を紹介することにより、上記の疑問に答えてみたい。


[経営を読み解くキーワード]
戦略的忘却
閔 廷媛
(九州大学大学院経済学研究院講師) 

[技術経営のリーダーたち] 第24回 
イノベーティブな開発では、深いところで皆をつないで
引っ張っていくことがリーダーに求められる 
小木曽 聡 
(株式会社アドヴィックス 顧問/トヨタ自動車株式会社 顧問)

[ビジネス・ケース]
エニグモ――ビジネスモデルの構築と成長のプロセス 
田路則子/福田淳児
(法政大学大学院経営学研究科教授/法政大学大学院経営学研究科教授)
「海外在住の個人の出品者から世界中のブランド品をお得に購入できる」というソーシャルショッピングサイト「BUYMA」を運営するエニグモは、創業から8年後の2012年に株式を公開した。新しく画期的なサービスではあるものの、同社の起業から株式公開までの道のりは決して平坦なものではなかった。本ケースは、まず株式公開までに経営者が経験した失敗や事業戦略を考察する。ベンチャー企業の成長プロセスだけではなく、ウェブビジネスのイノベーションのプロセスの研究でも示唆に富んだ内容である。続く同社の現経営体制の考察は、ベンチャー企業が株式公開後、採用・人事評価・新規事業開発などをさらなる成長の牽引力として有効に機能させる方策を提供してくれる。

日本交通――タクシー業界における組織変革とサービスイノベーション
露木恵美子
(中央大学ビジネススクール露木ゼミナール・中央大学大学院戦略経営研究科教授)
低迷が続くハイヤー・タクシー業界にあって、「『拾われる』タクシーから『選ばれる』タクシーへ」をモットーに、多様な顧客の要望に応えるサービスを次々と打ち出し、業界トップクラスの業績を挙げているのが、1928(昭和3)年創業の老舗ハイヤー・タクシー会社、日本交通である。子どもの安全な送迎サービスや訪日外国人の観光案内を手がける「EDS(エキスパート・ドライバー・サービス)」を展開するなかで、他社に先駆けてきめ細かなサービスを実現し、1時間4000円以上の料金設定にもかかわらず顧客を増やしてきた。注目すべきは、そのサービスをつくりあげる過程で、タクシー乗務員による活発な意見交換が行われ、現場から常に工夫や改善が重ねられているという点である。本ケースでは、約1900億円もの負債を抱えていた同社が、「選ばれる」タクシーの実現に向け、現場のタクシー乗務員たちの自主性を引き出し、復活を遂げるまでの軌跡をたどる。

[連載] 無印良品の経営学 第1回(新連載)
無印良品の誕生
西川英彦
(法政大学経営学部教授)

[コラム] 価値創りの新しいカタチ─オープン・イノベーションを考える 第1回(新連載)
周回遅れの日本企業
清水 洋 (一橋大学イノベーション研究センター准教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
社会的結合をイノベーティブに実現させようと模索する
アフリカの旗手、南アフリカ
モハウ・ペコ
(南アフリカ共和国大使館 駐日特命全権大使)

[投稿論文]企業内人材の事業創造効力感を
高める行動特性
関口倫紀(大阪大学大学院経済学研究科教授)
企業内で事業創造を担う人材の重要性が高まっている。そこで本研究では、企業内人材が有する事業創造活動への自信を示す「事業創造効力感」に影響を与える行動特性を実証的に検討した。日本で正社員として働く594人の調査データを分析した結果、仕事における「ネットワーキング行動」「プロアクティブ行動」「逸脱行動」が事業創造効力感と関連していることが明らかになった。さらに、これらの先行要因でもあり事業創造効力感に直接的にも関連する従業員特性として「社会的スキル」「創造的内発動機」「リスク志向」の影響が確認された。本研究の結果は、企業内事業創造人材の発掘・育成や、企業内事業創造を活発化する組織風土の醸成などについて一定の示唆を与えるものである。

[私のこの一冊]
■座右の書とするに値する名著――ポール・ミルグロム/ジョン・ロバーツ『組織の経済学』
 長岡貞男 (東京経済大学経済学部教授)

■ドラッカー経営思想の真の原点――P・F・ドラッカー『「経済人」の終わり』
 田中弥生 (大学評価・学位授与機構教授)


ご購入はこちらから
〒103-8345 中央区日本橋本石町1-2-1 TEL.03-3246-5467

47巻までの「ビジネスレビュー」についての問い合わせ・ご注文は
千倉書房 〒104-0031 中央区京橋2-4-12
TEL 03-3273-3931 FAX 03-3273-7668

2015年6月9日火曜日

【イノベーションフォーラム】2015.6.24 Kanchan Joshi

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年6月24日


テーマ:
"A Study of Resource Constrained Project Scheduling Problems
with Preemption and Learning"

講演者 :
 Kanchan Joshi (Data Scientist, Uhuru Corporation)

日時:
2015年6月24日(水) 12:15~13:45(昼食持ち込み可)

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室

幹事: 米倉誠一郎

2015年6月8日月曜日

【お知らせ】第10回一橋ビジネスレビュー・フォーラム

第10回記念!! 一橋ビジネスレビュー・フォーラム
「戦う企業の成長理論!
~攻めの変革力と経営者(リーダー)の条件~」のご案内



日時:2015年7月23日(木) 13:00~ 18:00 (受付開始 12:20~)
会場:よみうり大手町ホール
      東京都千代田区大手町1-7-1
      ※東京/大手町駅 C3出口直結

※本フォーラムは有料での開催となります。申込方法等は以下のHPをご参照ください。
http://www.b-forum.net/event/jp551/

オープニングアドレス:「攻めるリーダーが導く、日本の成長理論」
 米倉 誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター  教授)

基調講演:「知的機動力の経営」
 野中 郁次郎 (一橋大学名誉教授)

特別講演Ⅰ:「富士フイルム 魂の経営
          ~危機と実践知のリーダーシップ~」
 古森 重隆 氏(富士フイルムホールディングス株式会社 代表取締役会長兼CEO)

※ 本セッションの後半は、
    一橋大学名誉教授 野中 郁次郎との「Special LIVE 対談!」を予定しております。

ファシリテーター:
米倉 誠一郎 (一橋大学イノベーション研究センター教授)

パネルディスカッション:
特別・討論会!! 経営者大集合!
   「戦う企業の成長理論!~攻めの変革力と経営者(リーダー)の条件~」

モデレーター:
 米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター 教授)

パネリスト:
 髙田 明 氏(株式会社A and Live 代表取締役 株式会社ジャパネットたかた 前社長)
 木川 眞 氏(ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役会長)
 波戸内 啓介 氏(株式会社リクルートエグゼクティブエージェント 代表取締役社長)
 楠木 建  (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授)
 

特別講演Ⅱ:「三越伊勢丹の神髄~創造と変革のリーダーシップ~」
大西 洋 氏(株式会社三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員)

※ 本セッションの後半は、
    一橋大学イノベーション研究センター教授 米倉 誠一郎との「Special LIVE 対談!」を予定しております。

2015年5月29日金曜日

【お知らせ】第4回一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

第4回 一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

「最後のフロンティア」アフリカ
われわれは何を学ぶのか

2015年7月2日(木)18:30~21:00(受付開始 18:00~)
*有料のイベントです。

内容:
『一橋ビジネスレビュー』では、年4回の発行にあたり、読者にじっくり3カ月かけて読んで頂くことを念頭に、巻頭特集をはじめとするコンテンツの編集に努めております。コンテンツの内容に関する読者のご理解をより深めて頂くことを目的として、各号発売後に、読者勉強会(スタディセッション)を開催することになりました。
第4回では、『一橋ビジネスレビュー』2015年夏号特集「『最後のフロンティア』アフリカ」をテーマに、プレゼンテーションとパネルディスカッションを行います。終了後に懇親会も開く予定です(軽食と飲み物をご用意いたします)。


講師:
18:30~18:45 オープニング・リマーク(15分間)
駐日南アフリカ共和国大使館 特命全権大使
モハウ・ペコ氏

18:50~19:10 プレゼンテーション1(20分間)
「なぜいまアフリカなのか――日本企業のためのパラダイムチェンジ」
一橋大学イノベーション研究センター 教授
米倉 誠一郎

19:10~19:30 プレゼンテーション2(20分間)
「アフリカ進出日系企業の最新事情報告」
JCCP M株式会社 代表取締役
堺 夏七子 氏

19:30~20:15 パネルディスカッション(45分間)
「アフリカでビジネスをするということ」

パネリスト:
本田技研工業株式会社
アフリカ中東統括部 アフリカ中東事業部 二輪企画課 課長
室岡 克博 氏

日精エー・エス・ビー機械株式会社
代表取締役社長
青木 高太 氏

JCCP M株式会社
代表取締役
堺 夏七子 氏

モデレーター:
一橋大学 イノベーション研究センター
教授
米倉 誠一郎


会場: 学術総合センター2階・中会議場1 (東京都千代田区)にて開催。
     詳細は受講票にてご連絡させていただきます。

その他詳細およびお申込は下記のサイトをご覧ください。

お問い合わせ先:
ビジネス・フォーラム事務局(本スタディ・セッション企画運営担当) 03-3518-6531

2015年5月7日木曜日

【おしらせ】IIRサマースクール2015

IIRサマースクール2015開催のお知らせ


一橋大学イノベーション研究センター(IIR:Institute of Innovation Research)は、IIRサマースクール2015を開催します。

現在、イノベーションは大きな注目を集め、国内外で研究の裾野は大きく広がっています。IIRサマースクールは、研究者のネットワーキングと最新の研究発表の場、共同研究プロジェクトの紹介、若手研究者へのサポートを通じて、イノベーション研究のさらなる促進を目的としています。

開催日程:2015年8月24日(月)~25日(火)

場所:一橋大学 佐野書院(東京都国立市中2-17-35)

 プログラム:研究発表・ゲストスピーカーの講演
         8月24日は英語で、25日は日本語でセッションを行います。  

 参加対象者: 大学院でイノベーション研究を考えている学部生(3・4年生)・大学院生(修士・博士)・アーリーキャリアの研究者、Young at Heartなシニアの研究者

オーディエンスとしての参加
下記のHPから、2015年8月20日の9:00までにお申し込みください。

オーディエンス申込みフォームはこちら

会場の収容人数の都合により出席者を調整させていただく場合がありますので、
予め御了承ください。


IIRサマースクール2015-オーディエンス申込み

オーディエンスのお申し込みはこちらのフォームからお願いいたします。

現在の研究テーマの日本語・英語でのご記入が必須となっております。
ご準備の上、ご記入ください。

2015年4月24日金曜日

【イノベーションフォーラム】2015.4.28 大山 睦

産業・労働ワークショップ/イノベーション・フォーラム (共催)の
お知らせ 2015年4月28日


テーマ:
"Acquisitions, Productivity, and Profitability: Evidence from the Japanese Cotton Spinning Industry"

講演者 :
 大山 睦 (イノベーション研究センター 准教授)

日時:
2015年4月28日(火) 16:30~18:00

開催場所:
磯野研究館 1階 第2研究小集会室 (1階南側118号室)

幹事: 
真野裕吉 [経済学研究科]・臼井恵美子 [経済研究所]



2015年4月21日火曜日

【お知らせ】日経カレッジカフェでのシンポジウムの紹介


2015年3月31日に開催された
「グローバル・オープ ン・イノベーション・フォーラム2015」の内容が
「日経カレッジカフェ」で紹介されました

詳しくは
http://college.nikkei.co.jp/article/35710618.html
をご覧ください。


【イノベーションフォーラム】2015.4.22 Ilir Haxhi

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年4月22日

開始時間が変更になりました。


テーマ:
"Patent Enforcement under Strong Intellectual Property Rights:
The Liability of Foreignness in US Patent Litigation"

講演者 :
 Ilir Haxhi(アムステルダム大学アムステルダム経営大学院・准教授)

日時:
2015年4月22日(水) 16:30~18:00

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室

幹事: 軽部大

2015年4月13日月曜日

【お知らせ】新任教員が着任いたしました

以下の教員が新たに着任いたしました。

4月1日付け
  大山 睦 准教授
         産業組織論、応用ミクロ経済学
         プロフィールはこちら

2015年4月3日金曜日

【開催報告】グローバル・オープ ン・イノベーション・フォーラム2015




2015年3月31日、千代田区の学術総合センターにて、イノベーション研究センター主催の「グローバル・オープ ン・イノベーション・フォーラム2015」が開催されました。
日本のオープン・イノベーション先進企業である東レの日覺社長、数々の大手企業とオープン・イノベーションを実践中の注目のベンチャー企業ユーグレナの出雲社長、そしてビッグデータとインダストリアル・インターネットをオープン・イノベーションで席巻する GEのFinkhousen氏に講演者としてご登壇いただきました。また、味の素の尾道常務執行役員、ユーグレナ出雲社長、一橋大学米倉教授、ナインシグマ・ジャパンの諏訪社長の4人がオープン・イノベーションの理論と実践、可能性と課題についてパネルディスカッションを行いました。当日のプログラムは以下の通りです。

○プログラム:
13:30 - 開会挨拶:  米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター 教授)
13:45 - 基調講演1: 日覺昭廣氏(東レ株式会社 代表取締役社長)
 「東レのオープンイノベーション戦略――研究・技術開発事例のご紹介――」
14:35 - 基調講演2: 出雲充氏(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長)
 「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」
15:25 - パネルディスカッション: 
 モデレーター:
 米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター 教授)
 パネリスト:
 出雲充氏(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長)
 諏訪暁彦氏(株式会社ナインシグマ・ジャパン 代表取締役社長)
 尾道一哉氏(味の素株式会社 常務執行役員)
16:10 - 休憩
16:30 - 基調講演3:  Dyan Finkhousen氏(GE Director, Open Innovation)
 「Fast Workとオープンイノベーション」
17:40 - 閉会挨拶:    清水洋(一橋大学イノベーション研究センター 准教授)

 当日は、国内外のChief Technology Officerを中心に500名を超える方々にご参加いただき、大好評の内にフォーラムを終了することができました。
















2015年4月2日木曜日

研究者プロフィール 大山睦

大山 睦 (オオヤマ アツシ) 准教授


経済学 (産業組織論、応用ミクロ経済学)
1974年生

E-mail: ohyama☆iir.hit-u.ac.jp (☆を@に変えてください)
Phone: 042-580-8421
Fax: 042-580-8410


【履歴】     
1997年 横浜市立大学商学部卒業
1999年 慶應義塾大学 修士(経済学)
2002年 シカゴ大学 修士(経済学)
2008年 ニューヨーク州立大学バッファロー校 Ph.D.(経済学)
2008年 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校IGB ポスドク研究員
2009年 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校マネジメント学部 講師
2010年 北海道大学大学院経済学研究科 准教授
2015年 一橋大学イノベーション研究センター 准教授


【受賞】
2015年 科学技術・学術政策研究所により、科学技術イノベーションにおいて顕著な
    貢献をした「ナイスステップな研究者」として選定される。


【最近取り組んでいるテーマ】
生産性と産業のダイナミクス
サブマーケットと産業のダイナミクス


【論文一覧】   リンクはこちら 

2015年3月31日火曜日

【出版のお知らせ】清水洋教授の著書『オープン・イノベーションのマネジメント:高い経営成果を生む仕組みづくり』が刊行されました

米倉誠一郎・清水洋(編著)『オープン・イノベーションのマネジメント:高い経営成果を生む仕組みづくり』有斐閣)が、2015年3月に刊行されました。

オープン・イノベーションのマネジメント:高い経営成果を生む仕組みづくり
2015年3月発売
定価(本体2400円 税込)
ISBN 978-4-641-16458-1
有斐閣
判型・ページ数:四六判 326頁


目次
第1部 オープン・イノベーションの基礎
 1.【概要】オープン・イノベーションとは?
 2.【現状】日本企業には適さないのか?

第2部 オープン・イノベーションのプロセス
 3.【組織】分業とインセンティブの組織マネジメント
 4.【探索】外の知識をどのように探すのか?
 5.【知識】異なる知識をどのようにすり合わせるのか?
 6.【ファイナンス】内部・外部の知識の深化・探索

第3部 オープン・イノベーションの事例
 7.【大阪ガス】組織を変革する
 8.【中小企業】経営資源の制約を乗り越える
 9.【製薬産業】長い開発期間,高い開発費用を乗り越える
   10.【新潮流】技術革新を超える

エピローグ【おわりに】顧客とイノベーションのために


有斐閣のサイトはこちらです。

2015年3月20日金曜日

シンポジューム「医薬バイオ産業イノベーション: 革新力強化への課題 JSTプロジェクトからの示唆」を開催しました



 2015年3月19日、シンポジューム『医薬バイオ産業イノベーション: 革新力強化への課題 JSTプロジェクトからの示唆』が一橋講堂中会議室1, 2 にて開催されました。

 本シンポジュームの目的は, 平成23年11月より平成27年3月まで行われたJST/RISTEX 研究開発プロジェクト『イノベーションの科学的源泉とその経済効果』における知見を広く社会に対し明らかにすることで、産業政策および科学技術政策によるライフサイエンス産業の振興策、ひいてはイノベーション創出の在り方を検討することです。そのため、本シンポジュームでは以下の4つのセッションが行われ、それぞれ活発な議論が行われました。


(左から) 長岡IIR教授, 一橋大学経済学研究科岡室教授、
学習院大学西村准教授、経済産業研究所山内研究員


第1セッション:  イノベーションの科学的な源泉と知識の波及効果:知識フローの把握 では、特許や論文の書誌情報やサーベイ調査を用いたイノベーションプロセスの測定手法について、原IIR特任助手、山内研究員、西村准教授が報告を行いました。


革新的医薬の科学的な源泉とその波及効果の把握:事例研究から原 IIR特任助手


“The use of science for inventions and its disclosure: patent level evidence matched with survey”山内 研究員


「イノベーションの科学的な源泉と知識の波及効果:知識フローの把握へのコメント」文部科学省科学技術・学術政策研究所伊神正貫主任研究員




第2セッション:  バイオスタートアップの科学的源泉とファイナンス  では、バイオスタートアップの課題について神戸大学大学院経済学研究科中村准教授、中央大学商学部本庄教授両名が報告を行い、経済産業省新規産業室石井氏、日本大学経済学部准教授宮川氏が研究発表に対するコメントを行いました。

(左から) 清水由美バイオインダストリー協会事業連携推進部 主任, 石井芳明経済産業省 新規産業室,新規事業調整官 本庄裕司中央大学商学部 教授, 中村健太神戸大学大学院経済学研究科准教授



第3セッション:  サイエンスと革新的医薬の探索と開発:日本の革新的な医薬の事例研究からの示唆 では、日本で研究開発が行われた革新的医薬の事例研究について長岡IIR 教授, 神戸大中村准教授および元バイオインダストリー協会河部副部長が科学的源泉の役割および知的財産の役割に係る報告をそれぞれ行いました。

これを受け、日本の革新的医薬の研究開発プロセスにおいて重要な役割を果たした三名の開発者からコメントをいただきました。


(左から) 遠藤章東京農工大学 特別栄誉教授一橋大学イノベーション研究センター 客員教授/井村良視武田薬品工業株式会社医薬研究本部リサーチマネジャー/大杉義征一橋大学イノベーション研究センター特任教授


遠藤章東京農工大学 特別栄誉教授/一橋大学イノベーション研究センター 客員教授による「スタチンの開発から学んだこと」、井村良視武田薬品工業株式会社医薬研究本部リサーチマネジャーによる「アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB)の発見とブロプレスの開発」、大杉義征一橋大学イノベーション研究センター特任教授による「アクテムラの経験とコメント『日本発(初)の抗体医薬品』~不確実性、産学連携、競争~ 」と題し、それぞれの医薬品開発における経験談、今後のライフサイエンス産業への示唆など多くの示唆に富む意見を伺うことができました。

遠藤章東京農工大学 特別栄誉教授一橋大学イノベーション研究センター 客員教授 (一番左)

井村良視武田薬品工業株式会社医薬研究本部リサーチマネジャー(左)/大杉義征一橋大学イノベーション研究センター特任教授(右)


第4セッション  新薬開発におけるサイエンスと先行優位性、不確実性、及び規制:
         医薬品探索開発プロジェクトの大規模サーベイからの示唆 では、本研究プロジェクトにおいて実施した医薬品サーベイ調査について、長岡IIR教授および学習院西村准教授が報告を行いました。また、報告に対し産業界での課題について日本製薬工業協会研究開発委員会産学官連携部会長川上善之氏が、政策的な課題について河野典厚厚生労働省医政局 治験推進室長がコメントを行いました。

源田浩一日本製薬工業協会医薬産業政策研究所元主任研究員 (左)/河野典厚厚生労働省医政局治験推進室長 (右)



川上 善之日本製薬工業協会研究開発委員会産学官連携部会長


最終セッションでは、これまでの研究報告および議論を踏まえ、科学技術政策および知的財産制度の観点から、赤池伸一科学技術・学術政策局企画評価課分析官および岡田吉美一橋大学イノベーション研究センター教授からそれぞれコメントをいただきました。


赤池分析官によるコメント「科学技術イノベーション政策の立場から」

岡田教授によるコメント「知的財産制度の立場から」


 当日は50名を越える参加者にお越しいただき、盛況の中会を終えることができました。本シンポジュームの開催に際しご協力いただきました科学技術振興機構社会技術研究開発センター、日本製薬工業協会医薬産業政策研究所およびバイオインダストリー協会の皆様には厚く御礼申し上げます。

 本研究開発プロジェクトの研究開発期間は本月で終了しますが、本プロジェクトを通じ得られた知見の数々は今後ワーキングペーパー、学術論文、学会報告、書籍等を通じ明らかにしていく予定です。



(文責・原)