2018年6月28日木曜日

米倉特任教授の『イノベーターたちの日本史』の書評が『経営史学』に掲載されました

お知らせ:米倉特任教授の『イノベーターたちの日本史--近代日本の創造的対応』の書評が、経営史学会の学会誌『経営史学』(第53巻1号,2018年6月25日)の書評欄で取り上げられました。


評者は明治大学の佐々木聡先生です。

◆経営史学
http://bhs.ssoj.info/bhsj/sub03.html

◆『イノベーターたちの日本史--近代日本の創造的対応』の詳細は以下のページから
 ご覧いただくことができます。
http://hitotsubashiiir.blogspot.com/2017/04/blog-post_28.html

◆この本の書評等はこちらです。
http://hitotsubashiiir.blogspot.com/2018/04/blog-post_23.html

2018年6月26日火曜日

【お知らせ】谷口諒特任助教が第34回「組織学会高宮賞(論文部門)」を受賞


谷口特任助教が、第34回「組織学会高宮賞(論文部門)」を受賞しました。

受賞の論文は、
『シンボルを用いた資源獲得の成功による資源配分の失敗:「バイオマス・ニッポン総合戦略」の事例』(『組織科学』第50巻 第4号/2017年6月20日発行)
です。

◆要旨
本稿の目的は、既存の経営学研究の知見に基づき、日本の政策に係る問題を考察することにある。日本の重点政策下では、当該政策と本来関連の薄い政府事業が予算を獲得しており、政府が進める「選択と集中」は必ずしも達成されているわけではない。こうした問題は、「便乗予算」として指摘されている。本稿は、資源配分及び資源獲得研究双方の知見を援用することで、便乗予算という組織病理現象が生じるメカニズムを理解するための理論を構築する。本稿は、その理論を例証することを目的として、「バイオマス・ニッポン総合戦略」の事例分析を行う。具体的には、当該政策下で実施された207政府事業の事業目的記述の内容分析を実施する。その結果とそれに基づく考察からは、ボトムアップによる資源配分プロセスを採用している組織では、資源の重点配分方針が逆に資源の分散を招く危険性があることが示唆される。


「組織学会高宮賞」は、若手研究者による組織科学研究を奨励するために、
1985年に創設されました。
第34回組織学会高宮賞(論文部門)は、2016年9月1日から2017年8月末日の間に刊行された組織学会会員の著作の中から、組織科学研究の奨励に資するものとして
『シンボルを用いた資源獲得の成功による資源配分の失敗:「バイオマス・ニッポン総合戦略」の事例』が選定されました。 


「組織学会高宮賞」のHPはこちらです。

「第34回 組織学会高宮賞受賞者決定のお知らせ」

「IMPPブログ 谷口特任助教が組織学会高宮賞(論文部門)を受賞!」




2018年6月18日月曜日

【イノベーションフォーラム】2018.6.27 Ivar Padrón-Hernández

イノベーションフォーラムのお知らせ 2018年6月27日

論題:
“MNC Subsidiary Strategy and Institutional Responses in PET Bottle Reverse Vending

講演者:
Ivar Padrón-Hernández
(Affiliated Researcher, European Institute of Japanese Studies,Stockholm School of Economics)

言語:英語

日時:
2018年6月27日 (水) 12:40~14:00

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター2階・第2 IIRラボ
(Room #219) 

幹事:
軽部 大(イノベーション研究センター)

要旨:
How do host country institutions affect strategic choice and institutional responses by subsidiaries in multinational corporations (MNCs)? This paper addresses the above question through a comparative study of three subsidiaries within Tomra, a Norwegian recycling machinery firm. Specifically, I contrast regulative, cognitive and normative institutions surrounding deposit versus non-deposit reverse vending of PET bottles in the United States, Japan and Germany. Findings show how subsidiaries interacted with local institutions as they formed local strategies and institutional responses. While the strategic choice between deposit and non-deposit solutions was related to the overall degree of institutional friction, subsidiary responses to institutions were not. Instead, responses followed a hierarchy in which conflicting norms, cognitions and regulations were targeted in that order.
Emphasizing the role of MNC subsidiaries and local institutions in forming viable strategies, issue-specificity of institutions and pillar hierarchy of institutional change in mature fields, this paper contributes to the global strategy literature and institutional theory.

2018年6月12日火曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2018年度 Vol.66-No.1

2018年度<VOL.66 NO.1> 特集:「新しい働き方」の科学









12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社






特集:本特集では、いまや社会的な課題となっている「働き方」の問題を、社会科学の立場から冷静に捉え直すことを試みる。社会学、経済学、心理学、そして経営学の4領域の研究者が、それぞれの立場から議論することで、(1)「働き方」を変えることがなぜ難しいのか、その問題の構造を明らかにし、その上で、(2)既存の議論が見落としているいくつかの課題や論点を明確にして、(3)この問題を解くためには、しっかりとした方法論に基づいて収集されるエビデンスに基づいた議論が必要である、ということを明らかにしたい。

特集論文Ⅰ 多様化する働き方と心理的契約のマネジメント
服部泰宏
(神戸大学大学院経営学研究科准教授)
本論文では、2018年現在検討されている人材の多様化の問題を、心理的契約という観点から捉え、この変化が日本企業の人事管理に対して持つ意味を考えてみたい。人材の多様化とは、企業内にさまざまな「制約」を抱えた個人が流入する問題であり、それは企業のなかに、さまざまな心理的契約(会社との相互期待)を持った個人が並存する状態にほかならない。多様性への転換は、日本企業と社員との心理的契約を①個別的で、②明確で、③動的なものにしていくから、必然的に、社員の管理コストは引き上がることになる。そこで本論文が提示するのが、「マネジメントの機能的等価性」という考え方である。企業内のマネジメントをマクロマネジメント、ミクロマネジメント、(社員自身による自己のマネジメントである)セルフマネジメントの3つに分類した上で、本論文では、これらの機能的な等価性(補完性)の観点から社員のマネジメントを行うことを提唱する。


特集論文Ⅱ 女性活躍を推進する働き方と企業業績―上場企業パネルデータを用いた検証
山本 勲
 (慶應義塾大学商学部教授)
本論文では、2000年代以降の近年の日本の上場企業のパネルデータを用いて、企業における女性活躍推進によって企業業績が高まるかを検証した。分析の結果、正社員女性比率が高いほど企業の利益率が高まる傾向があることがわかった。ただし、管理職女性比率については、全般的には利益率との明確な関係性は見いだせなかった。一方、中途採用の多い企業やWLB施策が整っている企業、新卒女性の定着率が高い企業などでは、正社員女性比率や管理職女性比率が高まると生産性の向上を通じて利益率が高まることが示唆された。単に女性活躍指標を高めるのでなく、真の意味で女性が活躍できるような環境を整える形で働き方改革を進めることが重要といえる。

特集論文Ⅲ 性別役割分業観と女性の昇進意欲
深澤孝太朗/南條佑太/木村華子/都築成果
 (横浜国立大学服部研究室)
本論文の目的は、女性の働き方やキャリア観を規定する原因を、先行研究などで指摘されている職場環境や社内制度等の女性にとっての「外部要因」に加え、就業前から形成される性別役割分業観という女性自身の「内部要因」の観点から明らかにすることである。働く女性を対象としたアンケートのデータを分析した結果、性別役割分業観が高いほど昇進意欲が低いということがわかった。就業前から形成されてきた性別による役割に関する無意識的な思い込みによって、女性の管理職昇進を促進しようとする企業側の取り組みがキャンセルアウトされうるということである。最後に、具体的な施策として女性自身や会社全体が性別役割分業観の存在に目を向けていくことの必要性について述べ、本論文の総括とした。

特集論文Ⅳ 部下の性別による管理職行動の違いと働き方にかかわる人材マネジメントの影響
坂爪洋美
(法政大学キャリアデザイン学部教授)
企業の取り組みは、女性のキャリア形成に一定の成果をもたらすが、依然としてキャリアには性差が存在する。本論文ではキャリアに性差をもたらす要因として管理職の行動に着目し、女性部下への行動の特徴を明らかにすると同時に、女性部下への行動を喚起する人材マネジメントについて検討した。その結果、管理職が女性部下にキャリア形成につながる行動を提供する割合は、男性部下よりも低かった。また、管理職に中長期的な視点での部下の能力開発を求めることで男性部下の育成につながる多くの行動が喚起されるが、女性部下ではそのような結果は得られなかった。一方で、女性活躍推進や働き方改革は、取り組みの内容や進め方に工夫や留意が必要だが、女性部下のキャリア形成につながる行動を喚起することが確認された。

特集論文Ⅴ 残業時間と職務ストレスの決定要因
直林実咲/澤畠千隼/谷岡 凌
横浜国立大学服部研究室
なぜ長時間労働は発生するのか。そしてどのような職場であれば、職務ストレスを感じずに働くことができるのか。長時間労働の発生理由について、働き手が感じる職務ストレスに与える影響を含めて検討することが本論文の目的である。具体的に注目するのが、集団に対して個人が引きつけられる程度を意味する凝集性である。本論文では凝集性を、職場における同僚間の関係の緊密さと、上司との関係の緊密さの2つに分解し、これらが残業時間と職務ストレスに与える影響を、定量的に検討した。この分析の結果、上司関係が良好であるほど残業時間が増え、職務ストレスは軽減されることがわかった。また、職場における残業やそれがもたらす負荷が、職場の上司との関係によって規定されていた。

特集論文Ⅵ チーム単位の健康増進施策と従業員のウェルビーイング
森永雄太
武蔵大学経済学部教授
健康経営に対する注目が集まるにつれて、疾病予防や医療費削減のみならず健康増進活動を通じて組織全体の活性化および業績向上につなげていくことへの注目が集まるようになった。組織全体で健康増進活動に取り組むことを通じて組織レベルの健康課題を解消することは、その有効なアプローチの1つである。組織全体でチーム単位の健康増進に取り組むことは、従業員のウェルビーイングおよび職場での業績に対していったいどのような影響を与えるのだろうか。本論文では、健康経営の成果を従業員のウェルビーイングおよび業績の向上として捉えた上で、職場のコミュニケーション不足という組織レベルの健康課題に取り組んだX社におけるアクションリサーチの結果について報告する。

特集論文Ⅶ ニュースサイトビジネスに見る「新しい働き方」のリアル
常見陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師
新興メディアであるニュースサイトを担っているのは、専門家の副業・兼業や、フリーランスという「新しい働き方」や「柔軟な働き方」をする人々である。これにより、ニュースサイトは柔軟かつ良質な労働力を確保することができる。しかし、現状のニュースサイトの収益モデルと、実際の収益額においては、新聞・雑誌などの紙媒体と比較して十分な原稿料を支払うことができるわけではない。ニュースサイトの編集部には、外部の人材をマネジメントする能力が必要である。また、書き手においてはキャリア形成の「個人化」が顕著である。人材マネジメントの観点から、新興メディアの可能性と課題を考える。


[技術経営のリーダーたち]
[第33回]シリコンバレーから創りたい未来を発信する
西城洋志
 (ヤマハ・モーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレー CEO兼マネージングディレクター)

[連載]日本発の国際標準化 戦いの現場から
[第3回]サービスの国際標準化とアクセシビリティー
江藤 学/鷲田祐一
(一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院経営管理研究科教授)

[連載]フィンテック革命とイノベーション
[第4回]仮想通貨の不正事件とICOの法規制
野間幹晴/藤田 勉
(一橋大学大学院経営管理研究科准教授/一橋大学大学院経営管理研究科特任教授)

[連載]ビジネスモデルを創造する発想法
[第8回]事業創造はサイエンスかアートか
井上達彦(早稲田大学商学学術院教授)

[ビジネス・ケース]
8番らーめん――大衆のための日本式らーめんの海外展開
鈴木智子 
(一橋大学大学院経営管理研究科准教授)
「ラーメンといえば8番」と言われるほど、8番らーめんはタイの人々に広く浸透している。バンコクで8番らーめんを知らない人はいないだろう。1992年に、海外第1号店「8番らーめん」シーロムコンプレックス店をタイの首都バンコクに開店して以来、現在、タイに124店舗(2018年3月期)を構える。タイの人々にとって、外国の食べ物である日本のラーメンは、いまや日常的に食べられるものの1つである。なぜこれほどまでに愛されるようになったのだろうか。本ケースでは、8番らーめんの海外事業のうち、タイにおける展開の事例を通して、飲食のグローバルマーケティングについて考察する。

第48次南極地域観測隊/夏期――専門職集団のグループダイナミクス
科部元浩
(中央大学大学院戦略経営研究科博士課程・飛島建設株式会社 企画本部)
日本の南極観測は1957年1月に始まった。南極は、過去の気候・環境の記録が氷中に保存されていることから、「地球環境」の研究に最適な場所と考えられ、毎年観測隊が派遣されている。本ケースは、南極観測の拠点を建設する設営系夏オペレーションが題材である。夏オペレーションでは、観測隊員として選ばれた異なる組織・異なる専門性を持つ人々が建設作業に携わる。48次隊は、38に及ぶ夏オペレーションの全工程を2ヵ月半という限られた期間で完了した数少ない隊である。高度に専門化された現代社会において、組織を活性化し成果を出すための鍵は何か。48次隊がチーム一丸となって夏オペレーションをやり遂げた軌跡を追う。

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
「実力主義型終身雇用制」で、 内部人材の力を最大限に引き出す
藤田 晋/曽山哲人
(株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長/株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括)


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2018年6月7日木曜日

【イノベーションフォーラム】2018.7.10 Niraj S. Mankad

イノベーションフォーラムのお知らせ 2018年7月10日

論題:
“Open Innovation and Creation of Products and Services in the Media Economy

講演者:
Niraj S. Mankad
(Assistant Professor, School of Business, FLAME University)

言語:英語

日時:
2018年7月10日 (火) 12:40~14:10

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター2階・第2 IIRラボ
(Room #219) 

幹事:
青島矢一(イノベーション研究センター)

要旨:
An important characteristic of media firms is the element of content embodied into their products and services. Media content is an amalgamation with ideas, art and culture at the core and manifested as the firm’s product or service. This article studies the creation of media products from an innovation management perspective and demonstrates how their development traditionally followed a strategy of open innovation. The concept of open innovation suggests reliance on a network of external sources to realise and expedite the process of innovation within firms. Prior work in the field has drawn attention to nuances of open innovation focusing on external elements like nature of participants, relationships, motivation and firm-specific determinants such as processes and capabilities. However, in both, innovation or media management literature on open innovation in the context of media products or services and their development is rudimentary. In this article, we demonstrate how media firms have treaded the open innovation path by virtue of collaboration and co-operation with multiple participants across, and outside, the firm’s funnel of innovation. We further, examine and contrast the open innovation process between media and non-media firms seeking to arrive at learning that find applicability across other industries.


2018年6月4日月曜日

【お知らせ】第13回一橋ビジネスレビュー・フォーラム

第13回  一橋ビジネスレビュー・フォーラム
「革新を起こすリーダーシップ!~激論!"イノベーション創出"vs"働き方改革"~」のご案内



日時:2018年7月3日(火) 13:30~17:50(受付開始13:00~)

会場:一橋大学 一橋講堂
  東京都千代田区一ツ橋 2-1-2 学術総合センター内

※本フォーラムは有料での開催となります。申込方法等は以下のHPをご参照ください。

開催趣旨:
一橋大学イノベーション研究センターは、1997年に日本におけるイノベーション研究のいっそうの振興を図るために設置された専門研究所で、『一橋ビジネスレビュー』はその機関誌であり、日本における数少ない経営学専門誌として大学研究者から一般ビジネスマンにまで広く購読されています(出版元:東洋経済新報社)。本誌では毎年1回重要なトピックを取り上げ、有識者による講演とディスカッションによるフォーラムを開催しております。

毎回ご好評を賜り、おかげさまで13回目を迎えることとなった今回のフォーラムでは、目まぐるしく変化するビジネス環境において、今後日本が世界的にも高い競争力を保ち、世界をリードしていくためには、企業はどのような危機意識を持ち、変革に取り組んでいくべきなのか、イノベーション・戦略・組織の観点から討議して参ります。著名な経営者の方々と有識者・教授陣との白熱討論にて、日本企業の今後の展望を熱く検証致します。


13:30~13:35 主催挨拶(5分間) 

13:35~14:35 特別講義Ⅰ(60分間) 
 ホンダジェットにみるイノベーションの真髄
  ~新たな道を切り拓く、価値創造への挑戦
 藤野 道格 氏
 (Honda Aircraft Company 社長兼CEO
  本田技研工業株式会社 常務執行役員)

14:35~15:05 Special LIVE 鼎談(30分間)
 藤野 道格 氏
 野中 郁次郎 (一橋大学 名誉教授) 
 米倉 誠一郎 (『一橋ビジネスレビュー』編集委員長/一橋大学イノベーション
 研究センター 特任教授/法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科
 教授)

15:05~15:20 ブレイク(15分間) 

15:20~16:20 特別講義Ⅱ(60分間)
 キャノン電子における組織改革とイノベーション(仮)
 酒巻 久 氏
 (キヤノン電子株式会社 代表取締役社長)

16:20~16:30 ショート・ブレイク(10分間) 

16:30~17:50 パネルディスカッション(80分間) 
 イノベーションを生み出すリーダーシップ
  ~創造性と効率性の両輪を追う組織づくり~(仮)
 林野 宏 氏
 (株式会社クレディセゾン 代表取締役社長)

 田中 仁 氏
 (株式会社ジンズ 代表取締役 CEO)

 石倉 洋子
 (一橋大学 名誉教授) 

 小椋 一宏 氏
 (株式会社HDE 代表取締役社長兼CTO) 

 モデレーター:米倉 誠一郎